2-8 その後
--次の日
授業が始まるより少し早く教室についた。
教室に入ると、ざわつき出した
そういえば
僕優勝したんだった。
優勝報酬がでかすぎてすっかり忘れていた。
最底辺だと思っていた生徒が優勝したのだ
驚くのも当然だろう。
いつものようにつまらなそうに
頬杖をついて考え事をしていると
三馬鹿が元気よく入室してきた
「おいレイ=セプテンヴァー!
昨日のサーマント祭はズルをしたんだろう!」
「でなきゃまぐれだ!
調子に乗るなよ!」
「そうだそうだ!」
「お前は弱虫セプテンヴァーだ!
俺たちより先に行くことは許さない!」
「思い知らせてやる!」
「そうだそうだ!」
サーマント祭前にのしたはずが
忘れたのか?
また絡んできた
無視していると三馬鹿リーダー君が
殴りかかってきたので
アビリティ『障壁』を使った。
「いてえ!」
そして雷魔法
【サンダーアロー】を放った。
「「「ぐわぁぁ」」」
……
その後なにごともなかったかのように
また頬杖をついていると
今度は女生徒たちが近づいてきた。
「セプテンヴァー君
強いのね!」
「すごかったわ!
サーマント祭!」
「私実は前から気になってたのよね」
「そ、ありがと」
適当に笑顔を作ってあしらうと
なぜか皆顔を赤らめていた。
最後の子など天を仰ぎ
召されそうな表情をしている
何があったんだ……
教員が入室し、
人だかりは解散した。
--授業が終わり、
いつものように教室を出ようとすると、
女子生徒の集団に呼び止められた。
「ねね、いつもどこいってるの?」
「私たちと一緒に食べない?」
口々に行ってきたが先約がある。
悪意ではないのでありがたくもあるのだが
人だかりは苦手なのだ
目立ちたくないのには
こういつ理由もある。
「ごめんね、約束してるから」
それだけ言い残しそそくさと教室を後にした。
「彼女持ちか……」
「まぁ……そうよね……」
「ああ、こうなるならもっとはやく
声をかけておくんだったわ!」
何か聞こえた気がするが
エナ姫が待っている
僕はそそくさと中庭に向かった。
手のひら返しのようだが
僕は彼女たちに対してなんとも思っていない。
この学園は方針として、
アビリティ第一主義なので
僕のように孤立している生徒がいても
手を差しのべられることはない。
アビリティを磨くための学園なので、
自分の身は自分で守れということなのだ。
あまりにひどい状況でなければ
特に学園側はうごかない。
それがあるため、
この学園では教師に隠れて
いじめをするような輩も多く、
外野も止めるづらい状況なのだ。
なので、僕は自分でいじめられる
道を選んだようなものなのだ。
弱いと分かればいじめられることは
分かっていた。
別に止めてくれなかった彼女たちを
悪く思ったりはしていない。
しかしなんだこれは……
これがモテ期というやつか
悪くはないな……
--いつもの中庭につくと、僕の最愛の彼女
が既に待っていた。
「遅い……」
口を尖らせ、そういいながらも
お弁当を渡してくれた。
「ありがと!
ごめんね……」
「もうアビリティ隠してないんでしょ?」
ここに遅れたのはこれで2度目だ。
前回遅刻した理由は三馬鹿だった
それを思い出しての質問だろう。
「うん……でもまぁ目立ったら目立ったでね……」
そういうとお弁当箱を開けていた彼女の
手がピタリと止まり笑顔で言った。
「何、してたの?」
しかし、目が笑っていない……
こ、こわい……
「え、え、何って何人かに話かけられたから
適当に答えて、急いでこっち向かっただけだよ?」
悪いことをしていないはずなのだが、
あまりのオーラで焦りがとまらない……
「ふーん、女?」
「え……女の子だけど……」
「浮気……」
「ち、ちがうよ!」
……
そしてある疑問が湧き、
嬉しくなって聞いてみた。
「もしかして妬いてくれてるの?」
……睨まれました
そしてニタァっとした悪魔の笑みを浮かべると
「ふーん?そんな態度とるんだぁ?
浮気しといて……」
こ、怖いですエナ姫……
後何故僕が頂いたお弁当箱に手を近づけておられるのでしょうか……
「ごめんなさい調子のりました」
この人は怒らせたらやばい
僕の直感がそう告げている
自分の身とお弁当の危機を感じた僕が
可能な限り綺麗な姿勢で謝ると
今度は僕が仕掛けることにした。
「しかしお言葉ですがエナ様
浮気ではないのです
たしかにクラスの女子たちから
好意的に話しかけられましたが
すぐにこちらに向かいました
信じてください。
僕はエナ姫一筋です!」
エナ姫はこういった反撃に
弱いことを知っているのだ
悪魔が去り、いつものエナ姫に戻った。
少し頬を赤く染め、そっぽを向いている
「まぁいいわ
今日はこれくらいで勘弁したげる
でも浮気は死刑だから……」
物騒なことをいいながらエナ姫は
僕の大好きな一口サイズのハンバーグ
を取り上げ口に入れた。
……
「ぼ、ぼくのハンバーグが……」
なんてこった……
大事なハンバーグがとられてしまった
もう駄目だ……
エナ姫からは
シュンと肩を落として今にも泣きそうな
ぼくの様子が見えるだろう。
これも作戦なのだ。
それをみたエナ姫は顔を赤く染めて、
声でぼそぼそと何かを呟くと
我に帰ったのか頭をブンブン振って
心配そうにこちらを覗きこんできた。
「大丈夫?元気だして?」
あんたがやったんだよ……
とは言えないので
「ハンバーグ……」
今の姿勢と表情から自然と
見上げるような格好になり、
そう呟いた。
「やばかわ……」
エナ姫が抱きついてきた。
計画通り……
内心ニヤニヤしながらも
作戦の次のステップに移る
エナ姫の頭を撫でたのだ。
抱き付かれたら頭を撫でるのが
女の子の扱い方らしい。
妹に教わった
確かに心地よさそうにしている気がする。
しばらくそうしていると
「ん……
満足したから特別に許してあげる
今後は気を付けるように」
そういうと自分のお弁当箱から
ハンバーグを取り出し僕の口に近づけてきた
いわゆるあーんの形だ。
ハンバーグ!!!
当然僕は飛び付いた
もちろん彼女の性格と
彼女の弁当箱にハンバーグが
入っていたことから
狙った結果ではあったのだが
偶然を装う。
「おいひぃ……
エナちゃん大好き!」
満面の笑顔でそう言うと
その後エナ姫はずっと顔を真っ赤にしていた
……
そして解散し、放課後、妹の元へ向かった。
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