雪の妖精
「この間、友達に妖精が好きって言ったらさ、ロリコンって言われたよ」
開口一番、世の婦女子が嫌うであろう言葉を何の臆面もなく言い放つ厚志。
「妖精が好きだからってロリコンだとは限らないよね」
幸い、その婦女子である景子には耐性があるようだ。
「もちろんだとも。妖精=少女と考える所に発想の貧困さが伺える」
「それで、厚志はどんな妖精が好きなの?」
「んーと、火の妖精、水の妖精、木の妖精…」
「随分アバウトね」
「氷の妖精、雪の妖精…」
「え?」
「え?」
厚志と景子が顔を見合わせる。
「氷の妖精と水の妖精はどう違うの?」
「どうって…」
「どこからが氷の妖精で、どこからが水の妖精になるんだろう」
「そりゃ…摂氏0度以下でのみ生息条件が満たされる妖精って事でしょ」
「理屈っぽいなぁ、じゃあ雪の妖精は?」
「雪が降って地面に落ちて解けるまでが雪の妖精です!」
「短い命ね」
「そうでも無いよ。実は雪がある所ならいくらでも生きられる」
「じゃあこの辺りは妖精でいっぱいね」
大雪の後、雪かきをしながらダベる厚志と景子。
「雪の妖精、いるかな」
「いなければ呼べばいい」
そう言って厚志は雪を固め始めた。
「偶像の中に宿るのが神仏だとしたら、妖精だってきっとそうさ」
「ロマンチストね」
「はい、プレゼント」
妖精のシルエットを模した雪の塊を受け取る景子。
「妖精さん、遊びに来てね」
いつもより穏やかで幸福な時間をくれたのは、きっと妖精の仕業。




