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無言電話考察録
無言電話がかかってきた。
僕は受話器を持ちながら、今考えている。
なぜ、無言電話は怖いのか。
それはきっと相手の顔が分からず、想像するしかないからだろう。
相手はニヤニヤしているだろうか。
それとも狂気の顔をしているだろうか。
無言の電話はただただ怖い。
しかし果たしてそうだろうか。
例えば大好きな人と了解の元、受話器ごしにずっと無言でいたらどうなるだろう。
孤独な空間はそれだけでも満たされるのではないだろうか?
物理的には一人であるにも関わらず、恋人が次に喋り出すのを待つ電話は決して寒々しいものではない。
無言電話が怖いのは、話すべき時に何も話さないからだ。
のっぺらぼうが怖いのが、そこに顔があるべき所に無いからなのと同じだ。
それが分かれば何も怖いものなんてない。
さあ、何でもかかってこい!
「………」
僕は思考の罠にハマっていた。「かかってこい」という態度がもう無言電話というものの性質を理解していない証拠だったのだ。
僕はそら恐ろしくなって受話器を置いた。
あの電話は何だったのだろう。
分からないものが分からないまま放置されるから怖いのだと僕は知った。
次にかかってくる電話はちゃんとした電話だろうか。それとも…




