アレクシス視点
俺は何を間違えた?
アイツは何をしても俺を好きだったはずだ。
だから、俺が愛していると言えば頷くと、そう思っていたのに・・・。
なのに、アイツの瞳に俺は映っていなかった。
アイツの屋敷を出た俺は、家に帰りリビングで蹲る。
・・・もう、やり直せないのか?
そんな言葉が頭を過った。
・・・いいや、まだだ。
まだ諦めるのは早い。
アイツが俺を諦めなかったように、俺も諦めるものか。
そう決めた俺は、天井を見上げた。
そこには、アイツがメリンダと入れ替わっている時に、一緒に街へ行って買った照明があった。
「ねぇ、アレクシス?
この照明器具、可愛いと思わない?」
俺の腕を取りながら、甘えるように言う。
「照明なら、すでにあるじゃないか」
「そうだけど。
・・・貴方と一緒に街へ行った思い出として、目に見える物が欲しいのよ。
これを見る度に、今日の事を思い返すわ」
そう言ってアイツは、俺の腕に頬擦りをしたのだ・・・。
・・・そうだった。
そんなアイツが、俺を嫌いになる訳がない。
だからきっと、気を引きたくて、冷たい態度を取っているんだ。
・・・なんだ。
案外可愛いところもあるんだな。
じゃあ俺も、お前の策に乗ってやるよ。
・・・だから早く、俺を受け入れろ。
ベアトリス視点
「エドガー!いらっしゃい!」
私は嬉しくて、エドガーを抱きしめた。
可愛い可愛い、私のエドガー。
ヒールを履いた私よりも背丈が少し低い彼を抱きしめると、お互いの顔が横に来る。
私は、エドガーの頬に頬擦りをした。
すると、私の腰に腕を回していたエドガーが口を開いた。
「ベアトリス、今日も熱烈だね」
「ふふっ。貴方が可愛いのが悪いのよ」
それから一旦離れた私は、いつもの席へと案内する。
ソファに横並びで座り、エドガーに膝枕をしてやるのだ。
髪を優しく撫でると、猫のように目を細める彼に癒される。
あの日、膝枕をした日から私は、毎回こうしていた。
「ベアトリス、僕は猫じゃないよ」
「ええ、知っているわ。
猫より可愛いもの」
なんだかんだと文句を言うが、触られるのが嬉しいのだろう。
大人しく、されるがままになっているところも、また可愛い。
すると、細めていた目を開いたエドガーが、私の撫でる手を取った。
「ねぇ、ベアトリス?
僕は明後日、18歳になるんだ」
「あら!おめでとう、エドガー。
では、お祝いをしないとね。
明後日は来られるの?」
「うん、学院が終わったら来るよ。
・・・それより、ちゃんと意味は分かってる?」
「ええ、分かっているわ。
大人になるのよね?」
そう伝えると、エドガーは嬉しそうに頷いた。
そんな顔が可愛くて、私は掴まれていた手を引き抜き、エドガーの頭を撫で始めたのだった。
そして、エドガーが帰宅後に執事を呼ぶ。
「お嬢様、お呼びでしょうか」
「ええ、明後日はエドガーの誕生日なのよ。
だから、準備をお願いしたいの。
それと、宝石商を呼んでちょうだい」
「かしこまりました」
エドガーに何を贈ろうかしら。
・・・こんなに胸が弾んで、ドキドキした事は初めてだわ。
エドガーならきっと、何でも喜んでくれる。
そして、あの可愛らしい顔で『ありがとう』と言うのだろう。
この時の私は信じて疑わず、そう思い込んでいたのだった。




