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呪いをかけた呪師は、孤独な悪女に執着する  作者: こさか りね


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6/11

アレクシス視点

俺は家に帰り、自分の部屋へと入った。


アイツ、俺に会えて驚いていたな。

よっぽど嬉しかったんだろう。


これからは頻繁に会いに行ってやらないとな。


アイツが俺の事を好きだと言うのなら、答えてやらないこともない。


そんなアイツの姿を想像していた俺は、ついうたた寝をしてしまったのだ・・・。


・・・ギシギシとベッドが軋む音がする。


不審に思い目を開けると、目の前には裸のメリンダが跨っていた。


俺は恐れ(おのの)き、メリンダを突き飛ばしてベッドから降りる。


自身を見ると、服を脱がされているではないか。


「どうやって入った!?」


すると、気怠そうに返してきたのだ。


「なぁに?

妻が部屋に入っちゃいけないの?

・・・普通にドアから入ったわよ」


と、指でドアを指す。


鍵を閉め忘れたのか・・・。


俺は深呼吸をしてから冷静に告げた。


「出て行ってくれ」


するとメリンダは憤慨した顔になり、裸のまま迫って来る。


「妻にここまでされて断るなんて、貴方、それでも男なの!?」


・・・すごい剣幕だ。余計に萎える。


そして彼女は、俺の逆鱗に触れる一言を言い放った。


「しかも全然勃たないじゃない。

・・・もしかして、不能?」


そう言って、クスクスと笑うメリンダに俺の頭の中がキレた。


「いい加減にしろよ!

お前じゃ勃たないんだよ。

全く魅力を感じない。

どっか行ってくれ!」


「なっ!?なによ!

アンタなんて大嫌い!!

もういいわ!こんなところ出てってやる!」


顔を真っ赤にして、そう言い残したメリンダは、ドアを乱暴に閉めて出て行った。


それを見送った俺は、そのまま項垂れる。


そして気付いたんだ。

メリンダが居なくなる不安よりも、やっと落ち着けると心から安心した事に・・・。


・・・真実の愛。


そんなものは、俺とメリンダの間にはなかったのだ。

お互いが、背徳感と刺激が欲しいが為の関係に過ぎなかった。


そうして俺は、昔を思い返したのである。



俺とアイツは、親同士が友人だった為に爵位は違うが、小さい頃から一緒に遊んでいた。


そんな俺達を見た両親が、互いが8歳の時に婚約を結ばせたんだ。


俺はアイツに恋心はなかったが、アイツが俺を異性として好きだと気付いたのは12歳の頃。


学園に入る前、親に連れられてアイツの屋敷へ行った時だ。


他愛ない話を二人でしていると、アイツが手紙を差し出してきた。


「アレクシス様。

後で読んでくれませんか?」


「今読んではダメなのか?」


すると、少し頬を染めて『恥ずかしいので、私がいない時にお願いします』と澄ました顔で言った。


それから俺は、手紙を受け取り帰りの馬車で読んだのだ。


貴族らしい言葉で綴られている内容を読み進めていくと、最後に【お慕いしております】とあった。


その時の俺はそれを見て、確かに嬉しいと思ったんだ。


だが、学園に入学してメリンダと出会ってしまった。


いつも澄ました顔をしているアイツより、彼女の可憐な笑顔を可愛いと思ってしまったんだ。


そんな俺は、アイツといるよりもメリンダといる事を選んだ。


確かに、最初は罪悪感があった。

そんな俺を見た両親は、苦言を呈して来たが、それが逆にこの思いに火を付けたんだ。


そして極め付けが、アイツが俺に愛を求めるようになった事だ。


人形のように澄ましていた顔に感情が乗り、何度も何度も俺の所にやって来ては、眉を顰めて言う。


「私の何が悪いの?」と。


初めて、その苦渋の顔を見た時は、快感に震えた。


だから俺は、より一層メリンダにのめり込んだ。

するとアイツは、俺とメリンダを引き剥がす為に、ありとあらゆる手段を講じてきた。


だがそれは、俺にとっての麻薬だったのだ。


身体の隅々まで行き渡る刺激と、メリンダとする逢瀬の背徳感。


爵位も金も全てを上回るコイツが、俺の事で必死になる姿が滑稽に見えて、いつしか何をしても良い存在となった。

だから俺とメリンダは、コイツを悪女に仕立て上げる事にしたんだ。



すると、いつの間にか周りもそれを信じ、メリンダと俺の仲を【真実の愛】と呼ぶようになった。


そして、その話を鵜呑みにしたアイツの両親から婚約破棄の提案があり、俺達の関係は白紙に戻ったんだ。


そんなアイツは、その後別邸へと追いやられた。


皆が【真実の愛】と、そう言う事に、俺は一切の疑問を抱かなかった。


メリンダと俺は、真実の愛で繋がっている。


この頃の俺は、本気でそう思っていたんだ。


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