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あれからエドガーは、休みの日には必ず私に会いに来てくれる。
17歳で私と2歳しか変わらないけれど、見た目が幼いので弟のように感じてしまうわ。
エドガーは『男として見てほしい』って言うけれど、それはちょっと無理よね。
・・・だって私、子供に興味ないもの。
でも、エドガーの事は可愛いと思っているのよ。
だから、会いに来てくれるのをいつも楽しみに待っているの。
・・・だって、私に会いに来てくれるのは、彼しかいないからね。
さぁ、そろそろエドガーが来る時間だわ。
そう思い、メイドにお茶の準備をさせる。
とその時、執事がやって来た。
「お嬢様、お客様です」
「ええ、通してちょうだい」
そう伝え、お茶をする時の定位置に座る。
そして、ドアがノックされ入って来たのはアレクシスだった。
「お茶の準備をして待っているなんて。
そんなに、俺に会いたかったのか?」
折角の楽しい気持ちに水を差されて心が冷える。
「どの面下げてここに来たの?」
「何を言ってるんだ?
お前こそ、俺と会えて嬉しいだろう?」
そう、にこやかに告げるアレクシス。
そんな訳の分からない言い分に背筋が凍った。
嫌な動悸がして言葉が出ない。
アレクシスは私の前に座り、用意されていたお茶を一口飲んだ。
「・・・。
それは貴方のお茶じゃないわ」
そう言うと、アレクシスの瞳孔が開いた。
「・・・男か?」
怖い・・・。
一体、何があったの?
「・・・ええ、そうよ。
お客様が来るの。
だからもう帰って」
「なんだと?
お前は、俺の事を愛してるって言った事を忘れたのか?」
・・・完全に常軌を逸している。
私はマズイと思い、ベルを鳴らそうとしたその時。
「ベアトリス、来たよ!」
とエドガーが入って来た。
にこやかだったエドガーがアレクシスに目を留めると、眉を寄せた。
けれどそれは、アレクシスも同じだった。
だが、エドガーをまじまじと見たアレクシスは、鼻で笑ったのである。
「なんだ、子供じゃないか。
お前は子供になんか興味ないもんな。
・・・男だなんて、焦らせるなよ」
アレクシスはそう言って、またお茶を一口飲み、立ち上がった。
「じゃあ、俺の用件は終わったから帰るな。
また、会いに来る」
そう言い残し、エドガーの横をすり抜けて帰って行った。
アレクシスが退出していった後の部屋には沈黙が満ちている。
私は気を取り直し『エドガー、いらっしゃい』とにこやかに迎えた。
エドガーは未だに、眉を寄せたままだった。
そして、不機嫌そうに口を開く。
「ねえ、なんで奴がいるの?
・・・終わったんじゃなかった?」
私はエドガーに席へと座るように伝えた。
すると、アレクシスが座っていた場所は嫌だと言い、私の隣に座ったのだ。
そして、言いづらそうに口を開いた。
「じゃあさ、悪いと思っているのなら、膝枕して?」
・・・何かと思ったら、そんなこと?
私は笑顔で自分の膝を叩き『どうぞ』と答えた。
エドガーは、まさか了承されるとは思っていなかったのだろう。
ドギマギしていたが、ゆっくりと横になり私の膝に頭を乗せた。
柔らかそうな金色の髪を優しく撫でてやると、猫のように茶色の瞳を細めて喜んでいる。
ふふっ。
とっても可愛いわ。
そう思っていたら、エドガーが向きを変え、私の膝に顔をグリグリ押し付けてきた。
「ねぇ、分かってる?僕はこう見えても、もう17なんだよ」
「そうね。もちろん、知っているわよ」
「それに、あと少しで18だ」
では、こんなに可愛いエドガーと一緒に居られるのも、あと少しなのね。
・・・とても寂しいわ。
私が、頬に手を当てて悩ましげな顔をすると、ムッとしたエドガーが私の腰に手を回して抱きついた。
そして『僕は子供じゃない』と拗ねた声で言う。
・・・ああ、どうしよう。
胸が苦しくなるぐらいに、可愛くて愛おしい。
アレクシスにも感じた事のない、想いが込み上げてくる。
・・・私、今とても心が満たされているわ。




