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呪いをかけた呪師は、孤独な悪女に執着する  作者: こさか りね


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2/11

アレクシス視点

結婚前は奥ゆかしく控えめで可愛らしい彼女だったが、結婚してからはとても積極的になった。


俺の事を好きだと、言葉でも態度でも伝えてくれる。


付き合っていた頃は、恥ずかしがって好きだなんて言われた事がなかったのにな。


これはとても嬉しい変化だ。


俺は前よりも今の方が、より愛おしいと思っている。


だが一つだけ気がかりなのは、まだ初夜を迎えていない事だ。


早く彼女と一つになりたい。

心も身体も俺のものにしたい。


今の彼女を見ると、日々強くなる想いに脳が焼き切れそうだ。


そして結婚して、はや三ヶ月。


彼女が真剣な目で『以前とは違わないか?』と聞いてきた。


だから俺は、彼女が努力して変わってくれたのだと思い、前よりも今の方が好きだと伝えたんだ。


そうしたら彼女は力無く笑い、理解できない事を言った。

なんだか、別れの様に聞こえて、俺は自室へと篭った彼女の部屋の扉を、ただジッと見つめる事しかできなかった。


そして翌朝・・・


()()()()()

ものすごい勢いで部屋の扉が開けられ、驚いてベッドから落ちた。


「アレク!

私よ!メリンダよ!」


すごい剣幕でメリンダが入って来た。

俺はただ事ではないと思い、慌てて立ち上がる。


「どうしたんだ!?何かあったのか?」


そう聞き返したら、メリンダの顔が鬼のような形相になった。


「何かって・・・。

・・・まさか、気付いてないの!?

どういう事よ!?」


ヒステリックに叫ぶメリンダに、昔の奥ゆかしさも最近の愛情を宿した瞳の色の面影もない。


キーキーと叫ばれると、寝起きの頭に響く。


俺は取り敢えず『落ち着いてくれ』と話し、メリンダを連れてリビングへ行く事にしたのだ。


そこでメリンダから聞いた話は、想像を絶するものだった。


結婚してから今まで、悪女と入れ替わっていたと言うのだ。


話の当初は、頭がおかしくなってしまったのでは?と思ったのだが、聞く内に信憑性が高い事に気付いた。


・・・まさか、本当に?

じゃあ俺は、アイツと暮らしていたのか?


呆然としている俺に『初夜は済ませたのか?』と明け透けに聞いてくるメリンダ。


だから『まだだ』と答えると『じゃあ今しようと』言うではないか。


その言葉に、今まで(いだ)いていたメリンダへの抱きたいという欲望が萎えるのを感じた。


俺は『今日は疲れているから、落ち着いてからにしよう』と告げたのだった。



そして、俺はアイツへ確かめに行く事にした。


屋敷へ行くと、執事に応接室へと案内された。

見回すと、相変わらず華美で嫌味な部屋である。


少ししてから、アイツがやって来たのだ。

久々に見るが、本当に人形の様な顔をしている。

コイツと今まで一緒に暮らしていたとは思えなかった。


「メリンダから聞いた」


俺が一言告げると、何でもない事のように表情を変えずに返してきた。


「そう、それで?今更なんの用かしら?

これから用事があるの。手短にお願いするわ」


あんなに俺に執着していたくせに、その片鱗すら見当たらない。

昨日だって、愛情を示してくれたではないか。

何故だ?


「・・・まさか、男か?」


「・・・貴方に関係あって?

いいから、早くして頂戴」


俺はその態度にカッとなった。

イライラする。

何故そんな、何の思いもない瞳で見てくるのか。

こんな事を思うのは、お門違いだと分かるが、どうにも止められない。


「なんでこんな事をした?」


これを聞くのが精一杯だった。


「・・・貴方の言う、真実の愛を知りたかったからよ。

・・・けど、期待外れだったわ。

それだけかしら?

では、お引き取りを。

メリンダさんが待っているわよ」


「待て!

いつから入れ替わった?」


俺が聞くと、顔が綺麗なだけに、ニタリと薄気味悪い笑みを浮かべ『さぁ、いつからだったかしら?真実の愛で繋がっている貴方には、分かるんじゃない?』と、そう言ってクスクス笑ったのだ。


そう、俺は全く気が付かなかったのだ。

俺が愛しているはずのメリンダ。

そして、鬱陶しいと切り捨てたコイツ。


その言葉に愕然とした。

だって俺は・・・。

コイツと過ごしたであろう日々を、幸せだと感じていたからだ。


俺は放心状態になり、気がついたら家にいた。

ぐったりとソファに沈む中、メリンダが煩く何かを(わめ)いている。

俺の様子を気にかける事もなく、ただひたすらに自分の事を話していた。


そして、今日から本当のメリンダとの生活が始まったのだ。


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