10 再来
ところが二十年後、再びオルヴォスが私の店を訪れる。滅多なことでは驚かない私も、さすがにこれには呆気に取られた。
「あのときはよくもやってくれたな、マリスクイーン……。まさか話の途中で突然殺されるとは思わなかったぞ」
「どういうことですか? 殺されたことは自覚しているのですよね?」
誰もいない夜更けの店で私は真顔で尋ねる。地獄で迷子になり、間違って現世に出てきたわけではないようだ。今回ばかりは彼の話にちゃんと耳を傾けなくてはならない。
「貴様を打倒する力を身につけてきたと言っただろうが。私は海の彼方で不死のドラゴンと契約し、魔法の力で融合した。転生の無限竜とな!」
「ドラゴンと……? だからそんな顔をしていたのですね」
「無限竜の特性で、私は死んだ瞬間、自動的に生まれ変わる。この世のどこかに赤子として再び生まれてくるのだ。つまり私が死ぬことはない! 貴様と同じく不死の存在だ。私は貴様を殺すまで何度でも、何度でも、何度でも――」
そこで私は魔法《第九氷結》を発動させて、いつものようにオルヴォスを倒した。必要なことはもう聞いたからだ。あとは感情論をぶつけられて非論理的な戦いが始まるだけ。省略するに越したことはない。
とはいえ、私はため息をつく。
「死んだ今まさにこの瞬間、世界のどこかに転生したということですよね。前の戦いから経過した時間を考慮するに、戦える体に成長するまで二十年はかかるのでしょうが……」
二十年に一度も来られると、さすがに鬱陶しい。なんとかしなくては、と私は思った。




