7 決行
決行するのは十三日にした。先月のことである。
あの日の私は朝から先祖の墓参りに行くという口実で、ひとりでホワイトフォード城を出発した。そうすれば妻が嬉々として浮気相手のもとへ向かうと知っていたからだ。
じつのところ私はふたりをわざと接近させた。ヨハンのことは最初から入念に調べてあったのだ。その上で私は妻とヨハンがふたりきりでいられる機会を増やし、仲が進展するように巧妙に誘導していたのである。不貞を働いた負い目があれば、どんな偽証でもするはずだからだ。
私は馬でアンドリューの居城――セイラン館の近くの森まで行くと、用意していた服に着替えて旅の放浪者に化けた。ひと目を忍んで森に入り、煙が出る仕掛けを設置する。仕掛けといっても、湿った干し草や藁の束に火種を仕込んだだけの代物だが、たちまち黒々とした煙が発生した。すぐにセイラン館から多くの者が消火に駆けつける。
そして、その中に弟の姿もあった。
(許せ、アンドリュー)
私は草陰に身を潜めて吹き矢を発射した。狙ったのはアンドリューの首筋だが、角度がずれて彼の馬に命中する。馬は狂ったように暴れ出し、アンドリューは落ちて頭を強打した。その後はぴくりとも動かず、数日後には死ぬことになるのだが――。
大仕事をやり終えた私が城に戻ると、案の定、妻も出かけていた。やがて戻ってきた彼女の衣服はわずかに乱れている。街で買い物してきたと主張する妻に私はこう告げた。
「ヨハンのところへ行っていたのだろう? 隠すな。前から知っている。この城から追放されたくなければ、今日はずっと私と一緒にいたことにするのだ。わかったな?」
妻は顔面蒼白となり、かたかたと体を震わせながらうなずいた。




