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6 計画
それ以来、私は計画を練り始めた。
とはいっても大したものではない。たかが弟ひとり殺すだけなのだから手順は単純だ。殺害に使うことに決めた毒は、街の異国人から簡単に入手することができた。
いかにも怪しげな者に目をつけて私の方から声をかけたのだが、最初は毒なんて扱っていませんと白々しく猫をかぶっていた。しかし大金をちらつかせると簡単に白状し、呆気なく猛毒を売ってくれた。しかも、足がつきにくいという南方の吹き矢までつけて。
これで準備は整った――。自分でも両目が異様にぎらぎら輝いているのを自覚しながら私は路地の出口へ歩き出す。驚かされたのはそのときだった。
前方から緑色のロングガウンを着た細身の女が歩いてくる。黒髪の若い美人だが、恐ろしく冷たい無表情で、こちらをまっすぐ見据えていた。あきらかに只者ではない。
彼女も魔法師なのだろうか? 私は思わず息を止めるが、幸いなことに何も起こらない。
「悪いことに使ってはいけませんよ」
そうささやかれただけだった。すれ違う瞬間、なぜか彼女が少しだけ笑った気がした。




