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9 使用人
ライラはフレームヴェイン家で働く使用人のひとりで、掃除や洗濯などを担当する若いメイドである。顔立ちは美人の部類に入るだろう。どうもロムに気があるらしく、仕事中に彼に話しかける姿を何度も見かけていた。
ただ、私としてはあまり歓迎したいことじゃない。もちろん館の主人だからと言って会話するなとは言えないが、ロムは自分の大切な仕事仲間だ。いや、取り繕わずに言うと私はロムに強い好意を抱いている。誰にも奪われたくない。だからその旨を先日ライラに直接正直に伝えた。月夜に口づけをされたことも。
するとライラはものすごい形相で私を睨みつけてこう口走ったのだった。
「……それが『上』のやり方ですか」
「ライラ?」
「いいですよ。もう十分わかりました。でもあたし負けません。あとは『下』のやり方で片をつけさせてもらいます」
強い敵意は伝わってきたものの、あのときの私にはライラが何を言いたいのか理解できなかった。おそらくは彼女なりの恋の駆け引きに出るつもりなのだろうと――。まさかこんなにも直接的な攻撃を受けることになるなんて想像もしなかったのである。




