↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら屋敷が燃えていました。わたしのせいらしいです  作者: 虹色日和


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
26/32

禁止区画になったわけ

王太子妃の私室で、グレースは少しだけ眉を寄せていた。

原因は、目の前にいる夫――王太子ロイからの提案だった。


「オリヴィアが、私に謝罪をしたいと?」

「あぁ。受けるかどうかは、君に任せる。必要なら私が場を整えよう」


(…………何を考えているんだろう?社交界復帰の前に、立場を上げようとしているのかしら?)


「そうね……長く話すのは、少し疲れるわ」


以前のオリヴィアしか知らないグレースは、何度説明しても理解しようとせず逃げ続けた前任者を思い出し、小さく息を吐いた。


(でも提案を受けないと、何度でもしつこく突撃してくるのよね。あの子………受けるとしても、長く顔を合わせるくらいなら)


「…………分かりました。今から行きます」


こうして、二人は向き合うことになった。


そして――

グレースは頭を下げるオリヴィアに少し驚いていた。


以前の彼女だったら、ありえない行動だろう。


「頭を上げて結構よ。あなたが、あの頃のことを理解している。それが分かっただけでも、今日は良かったわ」


「私も今日は予定があるの。これで失礼するわね」

グレースはそう言って、静かに踵を返す


その背中を見送り、オリヴィアは小さく息を吐いた。

謝罪を受け入れてもらえたわけではないけれど、話を聞いてもらえたことだけでも、少し前進した気がした。


「……いつか、普通に話せるようになるかな」

「まぁ、少しずつだな。オリヴィア、頑張ったじゃん」

隣にいたザックが、優しく声をかける


「うん。今日は隣にいてくれて、ありがとう」

「おう」

ザックの笑顔が、今日はいつもよりずっと心に沁みた。

(私、この人と結婚出来て良かった……)


そのとき、突然オリヴィアの中に一つの記憶が蘇った。


「……あ。そういえば」

「どうした?」


「アクセサリー……」

「昔……誰かに『お前のアクセサリーを取り上げる』って言われたような……」


「取り上げる?」

「うん。確か……そのとき、私……どこかに隠さないとと思って……」


「……禁止区画に放り込んだ気がする」

「禁止区画?」


「オリヴィア ナイス!じゃあ、そこに行ってみようぜ」

「え?」


「あるかもしれないんだろ?」

「……でも、禁止区画よ?」


「だからこそだろ?」


結局、二人はオリヴィアの記憶を頼りに、王宮の奥へ向かった。

以前、オリヴィアが思い出した、立入禁止の区画。


そのさらに奥。

普段なら誰も近づかない場所。


「……この辺だったと思う」

「何か見えるか?」

「ちょっと待って……」


そこには爆破された扉。


その先には、長年使われていないらしい、薄暗い部屋が広がっていた。

オリヴィアが辺りを見回すと、壁に何かが書かれているのが目に入る。


「……何、これ」


そこには、たくさんのポエムが記されていた


♡♡ 君と僕の愛のポエム ♡♡


君は細菌。僕は白血球

君を見つけると僕はつい、襲い掛かってしまうんだ。


君を傷つけてしまうと


……知っているのに。


それでも止められない僕に、どうか君がとどめを刺してほしい。

君が喜ぶのなら、それが僕の本望なのさ☆


          ♡アレクサンダー♡



「…………え、何。これ」


唐突に見せつけられたキモいポエムに、オリヴィアは壁からそっと距離を取る。


「昔の王様の詩かな?」

「名前が書いてある……アレクサンダー……」


国の医療を発展させた、偉大なる王の名だった

「……禁止区画の理由が、なんとなく分かった気がするわ」


「オリヴィア……こっちにもたくさん書いてあるぞ!」


「えっと、消化酵素のような君?僕はさしずめ――」

「ザック。やめてあげて」


「お?おう」


「あ!あっちに何かある!」

オリヴィアが駆け寄ると、そこにはいくつもの小箱が雑に積み重ねられていた。

布に包まれているものもあれば、そのまま転がっているものもある。


そして、その中には。


「アクセサリーだ……」

「マジか」


「……これも」

「こっちにもあるぞ」


「なんでこんなところに……」


「オリヴィア!やったな!」

「え……?」


「どこにあるかもわからなかったんだろ?一歩前進したじゃねーか!」

ザックは嬉しそうに笑った。


「お兄さんにもう一回言ってみようぜ!」


確かにこれは、一歩前進なのかもしれない。


オリヴィアは小さく息を吐いて、アクセサリーを抱えた。


(少し勇気がいるけれど……)


「……うん。お兄様にもう一度会ってみる」


そして王太子ロイは、再び呼び出された。


「……今度はなんだ」

「すみません……」


オリヴィアは机の上に、アクセサリーとリストを並べた。

「禁止区画から、見つかりました」


ロイの眉が上がる。


「……禁止区画から?なぜおまえがそこに……まぁいい」

「はい」


ロイは一つずつ確認していく。


そして、いくつかのアクセサリーで手を止めた。

「……この中に、該当するものがある」

「本当ですか?」


「ああ。持ち主もリストにある」


ロイは、少しだけ試すような目でオリヴィアを見た。

「……お前は、どうする?」


「返します。今度は、自分の手で」

オリヴィアはロイの顔をまっすぐ見て返事をした。

そして、アクセサリーをそっと見つめる。


「ちゃんと謝罪もします」


ロイの口元が、ほんの少しだけ上がった。

「……そうか」



その後。


アクセサリーと持ち主のリストを受け取ったオリヴィアは、ザックとともに馬車へ乗り込んだ。

扉が閉まった瞬間。


「……疲れた……」

オリヴィアは座席に沈み込んだ。


「今日は、もう本当に疲れた……」

「そりゃそうだろ」

ザックが笑って、軽やかに言った。


「よく頑張ったよ」

「……うん」


オリヴィアはそのまま、ザックの肩にもたれかかった。


「それにしてもさー前のオリヴィアって、めちゃくちゃワンパク坊主なのな。俺、兄さんが読み上げてるとき、笑いそうになっちまったぜ」

「もう、やめてよ」


「ははっ、聞くの辛かっただろ……」

「……うん」


「でもさ、オリヴィアがやったことじゃ、ねーんだろ?」

「え……?」


いつもの調子で放たれたその言葉に、オリヴィアは一瞬、固まった。

「え、私がやったことだよ?どうして?」


「うーん……オリヴィアってさ。火事のあとから、記憶……なくなったんじゃねぇの?」


オリヴィアは目を開いた。

「……え?」


「なんかさ。それでちょっと性格も、変わったんじゃないか?」


馬車の中が、急に静かになったように感じる

オリヴィアは、息をするのも忘れた。


――その言葉に、どう答えればいいのか分からなかった。

♡アレクサンダー王 名誉毀損ポエム・消化酵素編♡


消化酵素のような君。僕はさしずめ炭水化物と言ったところだ。

君に触れられた瞬間から、僕は原型を留められなくなって溶けていく。


溶けて混ざり合い、やがて君の血肉になる。


それが僕の最高のハッピーエンドさ☆


かつて、作者が試験勉強をしていた時にせっせとノートに書いていたポエムがようやく日の目を見て、大変嬉しいことでございます!


あ、爆破されたような扉は、かつてあかない扉を前任オリヴィアがバーンとダイナマイトで飛ばしたからです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。