アクセサリーは、誰のもの?
【今回のお話について】
今回は後書きではなく、前に重要事項?置きます笑
ちょっとアクセサリーについての事件の概要を説明する回になり
正直書いててつまらなかった……じゃなくて、大変頑張りました(-_-)
というわけで、
「概要だけ分かればいいよ!」という方は、ここだけ読めばOKです!
【その1】
吹き矢でオリヴィアを狙っていた男女。
クラリスのご両親。しかも、公爵らしいです。
娘があれなのも、納得です。
【その2】
前任オリヴィア、社交の場で気に入ったアクセサリーをもらっては、飽きると別の人にあげる……を繰り返していました。
その結果、社交界が大パニック。
そして、その被害者の中にはオリヴィアの義姉・グレースも。
当時は婚約者でしたが、現在は結婚しているので王太子妃グレースですね。
この件ではロイも、グレースを助けようとした結果、別の問題を生んでしまい、少し嫌な気持ちと後悔が残っています。
「なにそれどゆこと??」という方は、本編へどうぞっっ!
5分後、オリヴィアとザックが部屋に戻ると、ロイがストップウォッチを片手に待機していた
「4分26秒か。感心だな」
「タイムを計っていたんですかお兄様」
「当然だろう」
当然だった。ロイが壁へ視線をやると、先ほど吹き矢を構えていた男女が微笑みながら立っていた。
オリヴィアはおずおずと確認する
「あの、お兄様。ちなみに壁の両側にいらっしゃる方はどなたでしょうか?」
「あぁ。彼らか。オリヴィアも面識があるだろう。ベルクロードの当主夫妻だ」
「ベルクロード、ということはクラリスのご両親ということですか?」
「そうだ」
クラリスといえば、代々毒や薬を扱ってきたベルクロード公爵家の令嬢である
その事実を思い出し、オリヴィアの背筋に冷たいものが走った。
「まさか、あの、先ほどお2人が持っていた筒には、毒が?」
「毒ではない。筋弛緩剤だ」
「十分怖いです!」
「お前がもし逃げ出したり暴れたりするようなら使う予定だったのだが、成長したのだな」
オリヴィアが震えながら壁を見ると、女性――ベルクロード公爵夫人がにっこりと微笑んだ
(怖い!)
「……そんなに警戒する必要はない。お前がきちんと話を聞いていれば、それでいい話だ」
「……はい」
オリヴィアは横を気にしながらも、恐る恐る頷いた。
「さて。細かい注意事項については、残りをすべて紙にまとめてある。あとで目を通しておけ」
そう言って渡されたのは、分厚い紙の束。
(どんだけあるのよ………)
紙を受け取ったことを確認すると、ロイはさらに別の紙の束を取り出した。
「そして、ここからが本題だ。」
(え……………………ここまでは、本題じゃなかったの!?)
「アクセサリーについてだが、お前も記憶に新しいだろう」
「あの事件で、国内の貴族家の多くが巻き込まれたわけだが、お前はまだ謝罪をしていない」
(アクセサリー………なんだろう。前のオリヴィアも好きだったと思うけど、覚えていない………でも、この流れで、覚えていませんはなんだか言いにくい………)
オリヴィアは、ザックと二人でお揃いで購入したネックレスを握りしめた。
その様子を見て、ザックが横から口を開く
「すいません。俺もオリヴィアがやったことならちゃんと知っておきたいので、最初から説明してもらっても大丈夫ですか?」
「いいだろう」
「オリヴィアは以前、社交の場で他人のアクセサリーを気に入ると、その場で持っていっていたんだ」
「……え?」
「オリヴィアは王女だからな。相手も断り切れない。だが結局、しばらくすると飽きてしまう」
「そして飽きると、別の令嬢に渡すことを繰り返していたんだ」
「えっと……元の持ち主に返さなかったんですか?」
「それが問題だったのだが、まず、誰が元の持ち主なのか分からなくなった」
「お前も、覚えていないと言って協力すらしなかっただろう」
「……ごめんなさい」
「もらう方としても、王女に『これ、あげる』と言われれば当然ながら断りづらい」
「……そう、ですよね」
王女からの贈り物。前任者の軽い認識とは裏腹に、その意味は重かった。
「正式な下賜品ならば、大切に扱うべきだが、相手は本来の持ち主がいることも知っている。それをどうするべきなのか、扱いに困る」
「えっと、ならオリヴィアに一言言ってから返せばよかったのでは?」
ザックの質問に、ロイは静かに首を横に振った
「これでも王族なのでな。王女の厚意を無下にしたように見えることを恐れたのだ」
「そんなことに……」
オリヴィアは、前任者のあまりにも無責任な対応に絶句する
「貴族全員が同じ対応だったわけではない。当然『それは元は自分のものだから返してほしい』と訴える令嬢もいたのだが、相手からすれば『王女殿下から賜ったものを返せと言われた』という話になる」
つまり、
「返せば、厚意を無下にしたように見える」
「返さなければ、元の持ち主との関係が悪化する」
「そして、どちらを選んでもトラブルになる」
「……最悪」
「そうだ。ようやく分かったか」
「しかも、品物が品物だったんだ。あるものは家宝のネックレスを。あるものは婚約者から贈られたイアリングを。そしてあるものは派閥の結束を示すために贈られたものをお前に取られた」
「なんでそんな大事なものを……」
「大事なものだから、社交界につけてくるのだろう。そしてお前はその事情に関心がなかった」
「『あの品は我が家のものだ』」
「『いや、王女殿下から賜ったのだから、すでに我が家の所有物だ』」
「『返せ』」
「『返せるわけがない』そう言ってもめる家もあった」
「逆に、素直に帰した家は『あそこは王女を軽視した家だ』と他の返却していない家から非難を受けることもあった」
「……うわぁ」
「そのうち、アクセサリー一つで家同士が険悪になり、派閥まで絡んでもめ始めたんだ」
「……派閥?」
「ああ。特に大きな問題になったのが、ある令嬢にお前が渡した髪飾り。元の持ち主は、グレースだった」
「グレース、お義姉様……」
王太子ロイの妻。つまり、オリヴィアの義姉でもある。
オリヴィアの中に浮かんだのは、いつも静かに微笑んでいる姿だった。
あまり多くを話さない、何を考えているのか正直よく分からない人。
……そんなイメージだった。
「……お義姉様、だから私のこと避けていたんだ」
「まあ、そうだろうな」
「……そりゃそうですよね」
オリヴィアが膝の上に視線を落とし、ぎゅっとこぶしを握り締めると、
横からふわりとザックの手がオリヴィアの手に重ねられた
「グレースの場合は、お前に髪飾りを勝手に持っていかれ、別の派閥の令嬢に渡されて……」
「それを取り戻すために、私が動いたのだが、それがまた別の問題を生んでしまった」
「問題…………ですか」
「あぁ。髪飾りを取り戻すとき、グレースは王太子妃という立場を利用して、自分のものだけを取り戻したのではないかと囁かれるようになってしまったのだ」
「そんな……」
「私が、グレースが困っているのを見て、相手の令嬢に返すよう口添えをした。権力を使ったつもりはなかったのだが、王太子である私が口を出した以上、そう受け取られても仕方がない」
「そして一度広まった噂は簡単には消えない」
「……そう、だったんですね」
「ああ。私も軽率に動いてしまった。グレースも王太子妃の権力を使ったつもりはなかっただろう。だが、それから人前で私と親しくすることを、ためらうようになったんだ」
「自分が王太子妃という立場を利用したと思われることを、今でも気にしているらしい」
前任者のやったこととはいえ、自分が奪い、勝手に人へ渡した髪飾り。
それが巡り巡って、グレースや兄の立場まで傷つけていた。
「……前の私。本当に、ろくなことしてないですね」
「まぁ、そうだな」
ザックは、落ち込むオリヴィアの目をみて安心させるように一つうなずいた
「えっと、ちなみに、他の人のアクセサリーは元に戻せたんですか?」
「戻せたものもあるし、戻らなかったものもある。いまだに行方不明になっているアクセサリーが数点残っているんだ」
「え……」
「最終的には、王家が調査を行い、仲裁も行ったのだがな」
「王家まで……」
「グレースだけが今回の件で守られたわけではないと示す必要もあったし、貴族同士のもめごとも日を追うごとに悪化していたのだ」
「そうして行われたのが、アクセサリーの交換会だ」
「オリヴィアが過去に持っていった品を一度集め、持ち主を確認して、可能な限り元の家へ戻すための場を整えた」
「えっと……それなら、元に戻せたってことですか?」
「そう思うか?」
「その場に集まったアクセサリーは返却できたが、オリヴィアが来なかったんだ」
「……え?」
「本来、せめてオリヴィアから一言謝罪をと時間も設けていたのだが、逃げた」
「……ごめんなさい」
「はぁ。私ではない。夜会で会う被害者たちに謝れ」
「……はい」
「そして、それに絡んでさらに問題が起きた」
「え……まだあるんですか!?」
「返却には応じるが、自分に有利になる条件を付けた契約を締結させた家」
「補償金目当てに、存在しない家宝まで申告してきた家もあった。当然、発覚し、処分されたがな」
「そんな……」
「そして、まだ見つかっていないアクセサリーもある」
「え……」
「お前が持ったままどこかへなくしたのか、それとも別の家の者が持っているのか。あるいは、申告した家が嘘をついている可能性も捨てきれない。」
ロイはため息をついた。
「王女が起こした騒動だ。どこまで調査すべきか、王家としても難しい」
「……まだ、見つかっていないものがあるんですね」
「ああ」
「……アクセサリー一個から、どうしてそんなことに」
「お前が王女だったからだよ」
「幸い、王家の介入で問題そのものはある程度収まってはいるが、感情の部分は解決していないものも多い」
「……そう、なんですね」
「ああ」
「……ごめんなさい」
「夜会では、被害者に会うだろう」
「……はい」
「お前はただ、謝れ。言い訳も、逃げるのも禁止だ」
「……分かりました」
オリヴィアは膝の上の『五歳からの淑女教育』をぎゅっと握った。
五歳からの淑女教育。
マナーなんてどうでもよく思えるほどの、過去の自分の爪痕。
「……私、本当に社交界に行って大丈夫かな」
夜会まで、あと1か月半だった
ここまで読んでくれた方、いるかな?いたらとても嬉しいです。
ありがとうございます!!
ちなみに、結婚当日、なぜか気絶した状態で連れてこられたオリヴィアですが、この両親が犯人ですね。
吹き矢でプシュッとされたんでしょう。




