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転生したら屋敷が燃えていました。わたしのせいらしいです  作者: 虹色日和


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2通の書状

数日後


オリヴィアは、届いたばかりの2通の書状をテーブルの上に並べ、眉間に皺を寄せていた。


一通目はローレンティア侯爵家の紋章が押された、立派な招待状。


差出人は、王太子妃グレースの母であるローレンティア侯爵夫人イザベラ。

内容は近日開催される夜会への招待だった。


そして二通目は王家の紋章が押された、さらに立派な書状。

こちらは、夜会への出席を許可する旨と、最後には、すっぽかし防止の入念な注意事項が書かれていた。


『夜会に先立ち、必ず王宮へ登城すること』

※オリヴィアの都合を最優先し、こちらの日程を調整する

※よって、本状を受け取り次第、7日以内に必ず登城すること

※なお、体調不良その他の理由による登城延期は断じて認めない


オリヴィアは、前任者が数々の重要行事を「気分が乗らない」「なんか体調悪い気がした」などの理由で何度もすっぽかしてきたことをすっかり忘れ、その手紙の圧に怯えていた。


そもそも、エリックに「俺から推薦してみるわ!」と言われたのが数日前。


(まさか本当に推薦するとは……)


いやそれよりも、本当に推薦が通るなど思ってもいなかった。


「……夜会って、そんな簡単に行っていいものなの?」


嫌な予感に背筋を震わせていると、ノックの音がした。オリヴィアが扉を開けると、そこには見慣れた男が立っていた。


「おはようございます、閣下へ朝のご挨拶に参りました」

「おはよう、ルシウス」


「ザックなら今ランニングに行っているわよ。もうすぐ帰ってくると思うけど」

「そうですか」


ルシウスは頷きながら室内を見回し、その視線がふとテーブルの上の書状で止まった。


「その書状は?」

「これ?」


オリヴィアは二通を指差した。


「侯爵家から夜会の招待状が来たの。それと、王家から出席許可と注意事項。あと、事前に王宮へ来いって」


「…………なるほど」

「何が『なるほど』なのよ」


「……つまり、閣下の夜会デビューということですか」

「え?そうね……たぶん?」


ルシウスの目が見開いた。


「なんと……ついに。閣下が夜会へ……」

「え?」


ザックが将軍となったのは、つい一年前のことだ。

貴族たちが集まる華やかな社交の場など、縁がなかった。


ましてや今回は王女の夫としての、正式な夜会デビューだ。

ルシウスの目が、徐々に鋭くなっていく。


「ルシウス?」

「これは……私が責任を持って準備しなければ!!」


「え?」

「閣下の記念すべき夜会デビューです!!」


「いや、まだ行くって決まったわけじゃ――」

「もちろん決まっています!!まず服!」


「デビューにふさわしい最高の服を、私が、必ずや、シャルディエル家の威信を持って手配いたします!!」

「ちょ、ちょっと待って。なぜルシウスがザックの服を手配するのよ」


「当然。私は閣下の右腕ですから!」

ルシウスは胸を張った。


「じゃあ、わたしはどうしたら……こういうのって夫婦で揃えるものではないの?」


「……まぁ。王女殿下はお好きになさってください」

「…………え?」


「え?って。今更どうしたのですか?あなたはコルセットきついと言ってテロンテロンの部屋着で参加したことだってあったでしょう」

「…………え?」


「ですが!!閣下の服に妥協は許しません!!」

「ちょっと待って!?私、部屋着で夜会に参加してたの?」


「はぁ。今更ですか?」

「待って待って。マナーとかどうなっているの!?大丈夫なの?」


「……好きにしたらよろしいのでは?あなた昔、会場の中央に勝手にパーテーションを設置してその中で――」

「待って、何?聞きたくない!」



「――めんこしてたでしょう?」

「めんこしてたの私?」


「相変わらず、記憶力が悪いですね」


「いや。そんなことよりも閣下だ!閣下の夜会デビューを素晴らしいものにしなければ!」

「……閣下は素材が良い。過剰な装飾など必要ない。むしろ――」


ルシウスはすぐに思考を切り替え、ザックの衣装についてうきうきと考え始める。

その横でオリヴィアは、夜会デビューへの不安が一気に押し寄せてきていた。


「……待って」


オリヴィアは、もう一度王家からの書状を読み返した。


『体調不良その他の理由による登城延期は断じて認めない』


「……どうしよう。私、これ……ぶっちしたい」

「でも延期もダメって書いてある……体調不良でもダメって……」


オリヴィアの顔から、みるみる血の気が引いていく。


「詰んだ……」


その横で、ルシウスは深いため息をついた。


「……まあ、ひとつだけ申し上げるなら」

「なに……?」


「頑張ってください」

「なにを!?」


「あなたについては……色々ありますので」

「なんで?」


「過去の経験上です」

「なに…………それ?」


嫌な予感が、また一つ増えた。

ルシウス「あなたは、これをまず読んで勉強されたほうがよろしいかと」


『私だってもう淑女!5歳から始める淑女のマナー』


【名前つけました】

オリヴィアの兄=王太子-ロイ

王太子の奥さん=グレース

グレースのママ =イザベラ・ローレンティア

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