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転生したら屋敷が燃えていました。わたしのせいらしいです  作者: 虹色日和


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13/32

ルシウスの報告書

数日後の朝。

オリヴィアたちの家に、王家の馬車が止まった。


「さぁ!!ようこそお越しくださいました王太子殿下!こちらでございます!」

ルシウスが鼻息荒く家まで一行を案内する。


「ルシウス、妹が大変な迷惑をかけていたようで誠に申し訳ない。手紙にあった事件、こちらでもきちんと調査をさせていただくつもりだ」

「えぇ、えぇ。ぜひともよろしくお願いいたします!」


発端は、ルシウスが王太子に送った手紙だった


~~~

王太子殿下ご無沙汰しております。

王女殿下のご様子について、ご報告申し上げます。


最初の屋敷が燃やされたことから始まり、

今の家につきましては、仮住まいにもかかわらず初日から壁を吹き飛ばし間取りを変えました。


また先日、近隣の皆様と交流会をしたいと仰ったので手配いたしましたが、王女殿下のご友人クラリス嬢の研究する未知の毒により場が混乱。住民の皆様は逃げ帰り、予定を大幅に繰り上げて終了しました。


そして極めつけは、王太子殿下より賜りました監視用ロボットが、私を危険対象と誤認し、攻撃したのです。


ザック様は将軍という立場にあられ、家での休息がなによりも重要なお立場であると愚考致します。

しかし!王女殿下におかれましては、少々将軍の奥方にふさわしい品というものが感じられない次第でございます。


最近では、毒使いであるクラリス嬢との親交をますます深めており、毎日怪しげな薬を手になにか話をしております。

いささか邪推ではございますが、クラリス嬢の毒による何らかの影響の可能性も否定できません。


つきましては、誠に恐縮ではございますが、今一度、両名のご縁組についてご再考いただけますよう、謹んでお願い申し上げます。


以上


ルシウス・シャルディエル

~~~



一方その頃


家の中では突然やってきた王家の馬車に…

いや、笑顔で目を血走らせてこちらに一行を案内するルシウスに、オリヴィアが混乱していた。


「なに?なんで家に王家の馬車がきているの!?」

「分かりません。オリヴィア様。私、今日は筋肉増強剤は持っていなくて、戦えません」

「戦わなくていいのよ!」


そして、玄関の扉が叩かれた。


「私が出るわ」

オリヴィアは背筋をすっとただすと、大きく息を吸って扉を開ける。


「ひさしぶりだな、オリヴィア。今日はルシウスからもらった報告書について、確認したくて来たのだが、いいだろうか」

「ええ。どうぞお入りください」


王太子の後ろでは、ルシウスが腕を組んで「勝った」とばかりに不敵な笑みを浮かべている。

完全に、虎の威を借る狐である。


「まずは、オリヴィア」

「先日の交流会で『未知の毒による混乱があった』とのことだがそれについて、確認したい」

「はい」


王太子は、オリヴィアの腕にしがみついてこちらを睨みつけているクラリスに目を止める。

そして、一つの懸念を口にした。


「クラリス嬢。あなたの薬でオリヴィアが何らかの影響を受けているのではないかとも報告を受けている」

「……え?」


「人を操る薬を使用しているとの報告もある。このような報告があった以上、念のため一度王宮にて――」


その時、オリヴィアの声が王太子の話を遮った

「バカにしないで!クラリスが、そんなことをするわけないでしょう!?」

「オリヴィア様……」


「だいたい、そんな人を操る薬なんて存在しないわよ!」

「え。ありますよ?」


「え……?」

オリヴィアはゆっくりと隣のクラリスを見る。


「クラリス?……今、なんて?」

「え。なので、人を操る薬はあります。多分、私の父から王家に報告がいっていると思います!」


(兄が聞いた話は、これだったのか……でも、なんで今この場で言っちゃうの。この子!?)


オリヴィアが驚愕していると、クラリスは胸元から小さな瓶を取り出した。


「これなんですけど、でも、まだ5秒程度しか効果が持続しなくて……」

「ちょっと、クラリスはもう黙ってて!」

「え?はい……」


「その薬もしまって!」

「え?はい……」


王家の兵士たちの間に、ざわめきが広がる。


「やはり、危険なのでは……」

「薬で人を操れるということか?」


「王女殿下も、その影響を受けている可能性が……」

「違うわよ!私だって今、初めて見たもの!」


「え?でもこれ、オリヴィア様が出してくれた『地味』を解決する宿題で作ったんです!」


(私の宿題とか知らないわよー。今言わないでーー)

オリヴィアは心の中で号泣した


「魅了薬を作ったんですけど、そのついでに出来上がったんです!」

「じゃーーーん!これが魅了薬です!」

クラリスは、褒めてとばかりに注射器を高く掲げる。

中にはパッションピンクの怪しい液体がなみなみと入っていた。


「え!?ちょ、ちょっとクラリス?あなた、本当にいったい何を言いだしてるの!?」


オリヴィアが慌ててその口を塞ごうと手を伸ばした、そのとき――


その手が、クラリスの持っていた注射器に触れた。


「あっ」


気が付いたときには注射器から薬が押し出され、勢いよく揮発した薬が、ピンクの煙になって部屋に充満していく。


「口を押さえろ!危険物だ!」

「王太子殿下をお守りしろ!」

「窓を開けろ!」


「オリヴィア様っ、解毒薬いります?」

「もちろんよ!!」


慌てた兵士が、ドアや窓を開け放ち換気を試みるが一足遅かった。

兵士たちの目がうつろになり、次々に周りのものに魅了されていく。


「ロボ丸様、なんと素晴らしいフォルム……!」

「この壁を守るためなら、私は死ねる!」

「殿下!あなたにお仕えできたことは私の一生の幸運です!」


「……何これ」

「魅了薬です!」

「そうじゃないわよ!!」


その時、騒ぎに気が付いたザックが、二階の部屋からあくびをしながら降りてくる

「なんかあったのか?てか、なんであの兵士壁に頬ずりしてるんだ?」


「ザック!今はそれどころじゃないの!みんなクラリスの薬でおかしくなってしまって」

「ん!?」


「閣下!!今日も閣下はなんと麗しい!この世の何物も閣下の魅力にはかないません!閣下こそ、至高の存在っっ!!」

「おう、ルシウスおはよう!お前はいつも通りみたいだな!」


「オリヴィア様、なんかやばいです!逃げましょう!!!」

「えっ??」


クラリスはオリヴィアの手を勢いよく引くと、階段を勢いよくあがり二階の部屋の鍵をかける。


「あの魅了薬、注射だと効果は30秒くらいなのですが、吸い込んだ時の効果時間はわからなくて…もうすぐで効果が切れてしまうかもしれません!」

「薬の説明は今はいいわよ!どうしよう!逃げてきちゃった!」


扉の前では、正気を取り戻した兵士たちと王太子が集まってきていた。


「オリヴィア!扉を開けろ!」


「まずいわ!私たち、完全に逃亡した危険人物じゃない!」

「確かに!」


ガタッ


その時、窓のほうから突然物音がして、人が部屋の中に入ってきた。


「「きゃああああーーーーー!??」」


「お前ら、何やってんだ?」

「ザック!!?びっくりした!なんで窓から!?」


「それより、私たち兵士をまいて逃げてしまいました!」

「お前ら…まずは、落ち着け」

抱き合って震えている2人に、少し大きな声でゆっくりとザックが語りかける


「落ち着いていられるわけないじゃない!?逃げたのよ!兵士から。しかも薬で!」


ザックは二人に向けていた眼差しを少し緩めると、落ち着かせるように優しく語りかける。


「大丈夫だから。ほら……戻るぞ」

「えっ?」


「逃げたままじゃ、余計に話がこじれる。俺が話すから、2人とも落ち着けよ」

「でも……」


「大丈夫だ。俺が一緒に行く」

ザックはオリヴィアの手を取った。


「二人とも、何も悪気があったわけでも、悪巧みをしたわけでもねぇんだろ?」

「……ええ」


「なら、逃げ回る必要なんてねぇよ」

「大丈夫。俺に任せとけ!」


ザックはそう言って笑い

2人が頷くのを確認すると、扉を開けた。


王太子が少し警戒した様子でこちらを見ている。


「オリヴィア、なぜ逃げたんだ?」

「それは……」


オリヴィアが口を開きかけたとき、ザックが一歩前に出た。


「悪い。兵士たちに囲まれて、2人ともちょっと混乱したんだ」

「薬を見て欲しかっただけなんです!」


「クラリスは黙ってろ」

「はい!」


「ただ、ひとつだけ言わせてくれ」

「オリヴィアは、誰かに操られてなんかいねぇ」


「俺たちは自分の意思でここにいる。クラリスも、自分の意思でオリヴィアを助けた」


「薬が危険かどうかは、ちゃんと調べりゃいい。けど、最初からこいつらを疑って、連れて行こうとするのは違うだろ」


オリヴィアは、胸の奥が熱くなるのを感じた。


「……待って」

その時、オリヴィアがふと思いついたようにふとロボ丸に顔を向けた。


「どうした?」

「ロボ丸って、録画機能があったわよね?」


「はい。映像記録を保存しております」

「じゃあ、先日の交流会も?」


「保存済みです」


「……再生してちょうだい」

「かしこまりました」


ロボ丸の目が、赤く光り、空中に淡い光の画面が浮かび上がる。


そして、映像が始まった。

そこには、交流会の準備をするルシウスが映っていた。


テーブルクロスを手に、周囲を確認している。


『この粗悪な品の数々。これであの極悪王女の正体を暴いてやる。くくくっ』


ルシウスの声が広間に響く。

そして、交流会当日の映像


クラリスに巻き付けた粗悪なテーブルクロスがはじけ飛び

招待客たちが悲鳴を上げ、逃げ惑っている


画面の端で、オリヴィアが呆然と立ち尽くしている。


一同は、ルシウスに疑念の目を向ける


「あ、あの……これは……」

ルシウスは、冷や汗を浮かべていた。


「ロボ丸。ルシウスが黒焦げになったところも映せるか?」

「お任せください!」


次の瞬間、ルシウスが注射器を振りかぶり、オリヴィアへ迫る映像が映し出される


『貴様も一緒にムキムキになって、私と働くのだ!!』

『危険行動を検知しました』


バシュゥゥゥン!!!

「ぐわあああああああ!!!」


映像の中で、ルシウスはその場に崩れ落ちた。


王太子が、ゆっくりとルシウスへ顔を向けた。


「ルシウス」

「……はい」


「交流会の混乱は、オリヴィアが引き起こしたものではないのだな?」

「……」


「そして、黒焦げになったのは?」

「……ロボ丸に、やられました」


「なぜ?」

「……王女殿下に、少々……」


「少々?」

「つまり、ルシウス自身が交流会を妨害し、オリヴィアに薬を使おうとし、王家に偏った報告を送った。そういうことか?」


「偏ったという表現には、異議が――」


「ルシウス」

「はい」

「今後は、ちゃんと全て偏りなく報告するように」


拳を握りしめたルシウスの肩が震え

やがて、絞り出すように叫んだ。


「……ちくしょう!!」


そのとき、ロボ丸がもう一つ映像を流し始める。


陽の光が降り注ぐ畑。

オリヴィアとザックが、並んで土を耕している。


『そこ、もう少し浅くでいいんじゃねぇか?』

『そう?このくらいかしら?詳しいのね』


『詳しいっていうか、昔やってたからな』


映像の中で、オリヴィアが土で汚れたザックの頬を見て、くすっと笑う。


『ふふっ、顔に土がついているわ』

『お前もだぞ』


『えっ?』


ザックが手でオリヴィアの頬を拭う。


『ほら』

『……ありがとう』


映像が終わった。


一同は、先ほどとは違う静けさに包まれていた。

王太子は、しばらく画面の消えた空間を見つめていた。


それから、オリヴィアとザックに視線を移す。


「なんだ。上手くやっているじゃないか」


オリヴィアの頬が、わずかに赤くなる。

ザックは、照れくさそうに頭を掻いた。


「まあ……おかげさまで」


「こちらも驚かせてしまって悪かった。うまくやれているなら安心した」


場が穏やかに落ち着いたその後ろで、

ルシウスだけが、今にも倒れそうな顔をしていた。


「追加のご報告です。ルシウス様の報告書には、事実と異なる記述が複数確認されました」

「ロボ丸!もうやめろ!!貴様っ、いつか必ず壊してくれる!」


「対象、危害の企図を確認」

バシュゥゥゥン!!!


「ぐわあああああああ!!!」

「なんでだ!!くそおぉぉ!!」

ルシウス「閣下が『オリヴィアになにかするのは、もうやめろ』と仰ったので、私は何もしておりません!!王太子殿下をお招きしただけです!!!」



オリヴィア「それにしても、クラリスの人を操る薬、効果時間短すぎない?」

クラリス「え?充分ですよ!星とブクマを押していただくには、5秒もあれば!」

オリヴィア「読者を操ろうとしないで!?」


ぶっちゃけ、星やブクマは読者様にお任せなのですが......

自称コメディ作家としては、毎回「これ、滑ってないかな......」とハラハラしています

もし「あ、ここ楽しいなー」とか思っていただけた場面があったら、リアクションボタンとか......あったら......嬉しいなーー一。なんて......思ったり┃ω・`)チラッ


やっぱり大丈夫ですごめんなさい

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