84話、共有の代償
背中を力一杯、叩かれました。
痛かった、もうすっごい痛かった
「おろして」
ミアが叩き疲れたのか、下ろすと歩き出した
「上書き完了」
左目で見えたけど、ミアの目が銀色だったし声は機嫌が良かった
ミアが気分良く歩いていくのを追うように歩いていると、何故か夜にシンアと一緒に歩いたミアが浮かんでしまった
だが、奴はいないし
ミアはあの目と、今の目は違う
なんだ、こんな事は感じた事なかったのに
シンアに対して優越感を感じるなんて
何かおかしい気がするのに
何故こんなに嬉しい?
夜になると、ミアが火を起こしてくれた
ここまで回復してくれて良かった、嬉しいな
ミアが食事を作ってくれた、この土地特有の食材かな?
なんだこれ?オレンジ色の細長い人差し指くらいの棒?が5本1束になって連なっているのを取り出した
「ミア、この食材はなんて名前?」
「本で見ただけの食材よ」
ミアの返事にまただ、また違和感がなんだこれ
「食べれるかな?」
「私が作るんだから多分食べれるよ」
「多分!?」
多分!?ミアは多分なんて言葉を使った事がないはずだが
「大人しく待ってなさい」
「はい...」
ミアがオレンジの棒を切ると、ピンク色の肉が出てきた
保存用肉なのかもしれない、いかん涎が
ミアに見られたくないから我慢だ
こっちを見たミアが笑顔になって料理に目を向けた?バレ...てないよな?
2本ほど細かくした後、鍋に入れて
乾燥した野菜と茶色の粉末を入れてるのが見えた
琥珀色で野菜の入ったスープはなんだろ、鍋から香る匂いは嗅いだことない初めての感覚だが嫌な感じはしない
「出来たよ、飲んでみて」
琥珀色に澄んだスープを渡され、匂いを嗅ぐとミルクとは違う優しい匂いだが後に香辛料がくる
一口飲んだら優しい味だが後味にスパイスがくる、最高だ
「美味しいな、これ」
「うん、肉の味もしてシンプルで美味しい」
「けど、なんかアレンジできそうな味でもあるね」
「明日、試してみよっか?」
「そうしよう」
食事を笑いながら食べて、食器を片付け終わり
後は火と剣を見るだけになった
暖かい食事を取って、2人で寄り添うとやっぱ嬉しいな
うん、全て食べ終わったし聞いてみよう
「ミア、何か違和感がない?」
「違和感?」
「うん、敵じゃ無いだろうけど違和感がある」
「実は、私も違和感があるんだよね」
ミアも何か感じてるのか
「共有で確かめてみる?もし精神攻撃ならわかるはずだから」
「そうしてみよっか」
ミアが俺の提案に同意してくれた、左目でミアの伸ばした右手が見えた
「闇魔法、共有」
ミアから安心する、大好き、火が怖いとか感情が来るが...何も敵を感じない
「何かされたわけじゃ無いのかな?」
ミアも何かを感じないみたいだな、敵じゃない
なんなんだろう?とりあえず様子を見るしかないか
ミアがゴソゴソ動いてるが怖い気持ちが沢山来る、剣を出すのかな?
「剣、出すね」
その言葉を聞いて、ミアが右手で剣を持ち焚き火の前にかざし、俺はミアの右手を覆うように左手で握る。しばらく剣と火を見ていると
最初は怖いがミアから来ていたが
お互いに好きが増してしまったりして、安心したら眠気が来たから共有を解除して2人で眠ってしまった
「夜に見張っていた俺のプライドが形無しだな」
右肩が動き出した、ミアが起きたか
「おはよう」
「おはよう」
「私なんか(・・・)のためにずっと動かなかったの?」
待て、おかしい
なぜミアは今、私なんかのためにと言った?
「ミア、何か違和感があるか?」
キョトンとしたミアは考えるが何も思いつかないのか屈託のない笑顔を見せた
「特には何もないよ?」
「そうだよな、ミアはミアだもんな」
そうなのか?おかしくないか?
「そうだよ?」
ミアの言葉に安心したのかお腹の音が鳴った
「早く起こしてくれたらよかったのに」
「プライドが邪魔して言えなかった」
ミアの笑顔が、一瞬で凍った
「・・・ねぇ、アキ」
俺も笑顔が消えた、だって今
俺は、プライドという言葉をつかった
「ミア、俺は今プライドと言ったか?」
「うん、これはおかしい」
「おかしいな」
「もしかしたら闇魔法のせいかも」
「え、何!?」
急にバングルから精霊が出てきたのが見えた!?
「ミア、俺にも闇の精霊が見える」
「声は?」
「声は聞こえない」
だが、怒る闇の精霊が見える
なぜ怒っている?
「闇の精霊の話だと、魂が闇を介さず直接繋がってごく一部が混ざったって」
「それは、悪い事か?」
俺の言葉がわかったのか闇の精霊は凄く、怒っているのがわかるくらいバタバタしてる
「下手したら個人の境界がなくなり輪廻に帰れなくなるって」
だから、ミアの感覚に近くなったのか?
「どうやったら戻せる?」
闇の精霊が説明してるが、声が聞こえないのがもどかしいな
「今は無理、でも解決策はあるしごく少量だから封印したらいけるって」
「解決策は?」
「えっと、まずは混ざった魂は戻らないからアキの魂と私の魂で器を作って...え?」
闇の精霊が何か言った瞬間、ミアが凄く動揺し出した!?
「は、はぁ!?」
「本当なんでしょうね!?」
ミア、何を聞かされたんだ?
「どうした?」
「こ..」
「連呼するな!」
顔を真っ赤にしたミアが闇の精霊を掴んで投げたな、こうやってたのか
地面で精霊がバウンドしたぞ
「えっと、混ざった魂をどうにかするには一時的な封印か器が必要で....」
「封印はわかる、けど器?」
「うん....」
「それが、その...私達で新しい命をというんだけど...」
ミアが俯いて両指を合わせながら必死に言葉を出そうとしてる、あざとすぎて可愛い
「こ、子供を...作ったら大丈夫だって」
....
........
やばい、一瞬フリーズした
子供?意識したら、色々やばい。下手な否定はできないな
「欲しかったから問題ないね」
やばい、俺は何を言ってるんだよ!?
考え方が混じってるんだろうな、俺の考え方なのかわからない
ミアもミアで頭から湯気が出るぐらい真っ赤になってるし!
「あー、もう!闇の精霊!現時点でアキに混ざった私の魂の封印方法を教えて!」
「調子狂うから!」
ミアが叫ぶと、闇の精霊が何かいってるな。
いや、ミアに抱きついてキスしたくなる
いきなりするのはおかしい
「うん、本当にまずい」
「俺の柄でもないことをしそうだった」
「そうなの?」
「うん、プライドが邪魔するからしないが大好きって身体で表現したい」
「私が今自分を卑下しかかってるからやめてね?」
「そんなミアも可愛い」
「やめて!嬉しすぎてクセになったら戻れなくなるから!」
慌てるミアが新鮮で可愛すぎる、闇の精霊が答えを出したみたいでミアが魔法を唱えた
「わかった!闇魔法、不活性!」
俺から、何かが収まった気がした
「あれ、何か刺々しさが無くなった」
「私も、何か卑下がなくなった」
まるで、あった物が急に消えた感覚だ
ミアも、同じ感覚になったみたいだな
「共有は、禁止だな」
「そうね...え?」
「闇の精霊経由なら右目が見えるようになるみたい!」
ミアが凄くテンションが上がってる、俺もそれを聞いてテンション上がった。右が見えるようになるのは嬉しい
「なんだって!?」
「デメリットは精霊が引き受けるみたいよ」
精霊が引き受けるって、共有でかな?
「なるほど、共有?」
「共有じゃなくて、共視らしいよ。やってみるね」
ミアがこちらに向かって詠唱を始めた
「闇魔法、共視」
「右目が見えっ...」
いや、ミアの谷間に思いっきり目が映ってるんだが!?
俯いても消せねぇ、あ...もう少しで見えっ..
「どうし...」
気づいたミアが見逃してしまうレベルの速さで精霊を掴んだな、右目が凄いスピードで回ってる。
左目は闇の精霊がいたであろう場所を掴み、地面に叩きつけたミアが見える
目が笑ってない
「この、変態精霊がっ!何っ!してくれるのよ!?」
地団駄踏んでる箇所に精霊がいるな、右目でわかる
「面白いな、この目」
「私の胸が面白いって言ってるの?」
ダメだっ、ミアの矛先がこちらに向く!?
巻き込まれたらマズイ!
「なんでもないです」
「はっきり言いなさい」
詰め寄るミアに言い訳を...そうだ、名案が浮かんだ
「闇の精霊の扱いが面白いと..そうだ」
闇の精霊って言いづらいし、名前もありかな?
「ミア、闇の精霊に名前を付けない?」




