77話、帰ってきた感情の台風
意識が、目が開かないな
全身が寒い、声だけが聞こえる
「こんな傷、私は治せないよ...全然足りない」
「良いですか、ミアリスさん」
「貴方の喜怒哀楽は哀しい哀もありますが、愛情の愛にもなるのですよ。今からイメージしてください」
「死んだら悲しいですか?」
「凄い悲しいよ」
「アーキさんを愛してますか?」
「う、あ...」
「その感情と、アーキさんと話したら楽しいと思いますか?」
「はい、思います」
「その気持ちを混ぜなさい、シンアの時は怒りでしたが」
「アーキさんが死んだら嫌な哀しみに愛情と楽しいを掛けて回復させたら」
「すっごいの、出ますよ?」
「てか、早くしてくれないと私の闇魔法が解けそうです」
「え、解けたら」
「アーキさんは即死するので急いでくださいね?」
「なんでみんな私を焦らすのよ!?」
「声に出したら、回復は強くなりますよ。ほーら叫んでください」
「アキ、愛してる。一緒にいると楽」
「声が小さい、もっと大声で言ってください」
「大丈夫です、意識はありませんよ」
「アキ!愛してるし横にいると楽!」
「そうです、もっと叫んで」
「アキ!愛してる!全て終わったら子供が欲しい!!」
「良いですね、ほら!傷が塞がり出しましたよ」
「アキ!絶対に私が毎日愛情たっぷりの料理を食べさせて長生きさせる!」
「毎日楽しい会話したい!」
「来ましたね、あとは魔力を強めて!」
「最後に気持ちを叫びなさい!」
「アキ!愛してるから戻って来て!私をひとりにしないでぇぇぇ!」
「本当にできた...」
「ちなみに、次からは声に出さなくても大丈夫ですから」
「え、じゃあ今のを言わなくても...」
「別に良かったですし、アーキさんは意識がありますよ?」
「なっ!このっ...馬鹿セレン!」
「助かったら良かったじゃないですか」
「私は用事があるから消えますね、濡れ血の剣も回収します」
「早く行って!もう知らない!」
「また会いましょう、次はみんなで行きますね」
「闇魔法、霧散」
お腹に布が擦れる感覚がある、これは
ドレスの中のふとももが脇腹と横腹を擦って腹の上にミアリスが乗った感覚があった
「アキ、起きてるんでしょ?」
感触でわかる、ドレスの中の素足がお腹に当たるんだが
馬乗りになったミアに誤魔化しは、もう無理っぽいな
「寝たふりはダメ?」
「叩くの、グーにするよ?」
目を開けたら、笑顔で殴る構えをしてるミアリスと目があった
これはマジだ、嘘つけない
「全部聞いてました」
「ねぇ...!」
構えを解いて、両手を俺の胸に置いたミアが焼けた服を掴んだ
足と両手でわかる、震えてる
「私はアキを治療できて喜んだら良いの!?右目が見えなくなると最後の最後に言ったアキに怒ったら良いの!?それともあの馬鹿セレンに私の本心を言わされて恥ずかしがったら良いの!?何も気持ちが楽にならないんだけど!?」
見事に、喜怒愛楽を言ったなぁ
「真っ先に言うなら」
俺が顔に、右手を差し出すように手を伸ばしたら、ミアが両手で掴んだ
「また、ミアって呼んで良い?」
「馬鹿!良いに決まってるでしょ!」
俺の右手を頬に当てた彼女の左目は、金色で顔はぐちゃぐちゃになるくらい泣いていた
「右目が灰色になってる」
「見えないけど、ミアを救えたし」
「お揃いだな」
「何それ、色だけで言ったらダメよ」
「言い換えるなら、愛の証?」
「そんなわけ...言い切れないのが腹立つ」
「あとさ、ミアにもう一個プレゼントかな?渡したいものある」
「何よ、これ以上泣かせる気!?」
「泣くかもね?」
左手でポケットから笛を出した
「ミア、結婚前提の約束と思って受け取ってくれるか?」
泣いた顔がびっくりして、両手を離したミアはまたぐちゃぐちゃな顔してるが金色の目がさらに輝いたのが印象に残る
あぁ、これがミアの幸せの顔か
震えた手で笛を掴んだミアの手は暖かった
「馬鹿、そんなこと言われたら断れないじゃない!」
俺から笛を受け取って、吹く構えをとったから俺も笛を吹く準備をする
ぴぃぃぃぃぃ!
ぴぃぃぃぃぃ!
二人で笛を吹いた、何も変わってなかった
ほっとした
「良かった、音も変わってない」
「嬉しい」
「無くなったかと思った、繋がりが戻って来た」
「次は無くすなよ」
「うん、なくしゃない」
「なくしゃない」
無言でグーで叩かれた
けどミアの左目はずっと金色だから喜んでくれているみたいだ
「ミア、愛してる」
「私も、愛してる」
「あとさ、ドレス姿似合ってるけど」
「うん」
「次は、俺のためにきてね」
「わかった...」
「何回、泣かせるの?」
「ミアが満足するまで」
「馬鹿、もう十分満足よ」
泣き疲れたように銀色になった目で綺麗な笑いを作るミアを見てなぜか俺は心がざわついて
右目の視界が無い事を後悔した
「ごめん、ミア」
さぁ、男として。大問題を解決するか
「何?」
「ちょっと離れて欲しい...かな
「なん...」
気づいたな、よじろうとして更に擦れて真っ赤になってる
体温も上がったな、熱い
「大胆だな?」
「うるさい!馬鹿馬鹿馬鹿!今言うな!」
退くか叩くか迷って叩くと決めたミアによるドラミングされる胸の感触と音でわかる
帰ってきた
ダークナイト編がこれで終幕、次は結構重要かもなサイドストーリーを出したら新章
そろそろ佳境です




