66話、殺した後とは思えない道中
外に出たら、なんだろ
世界が違うように感じる
「さぁ、向かいましょう」
変わらないのはセレンの声か
「あぁ、次は?」
「ここから、一日走った場所です」
一日か、短いと感じる俺も壊れだしてるのかな
「わかった」
「まってください、私の食事は?」
セレンは驚いた顔してるけど、俺はお腹が空かないから忘れてたよ
「忘れてた」
「忘れたらダメですよ?」
セレンに怒られたがセレンは何を食べるんだろ?
「何を食べるんだ?魔族?」
「私達は人間ですからね?」
セレンが不本意みたいな顔をしながら闇からパンを取り出した。
本当に、どこから出したんだ
「はい、少しお待ちくださいね」
「それくらいで、良いのか?」
「私にとって食事は栄養補給ですし」
「食べすぎて私の出した物、見たいですか?」
「俺に聞くな」
「冗談が効かないですね」
「今、言える状況じゃないからな」
パンを齧る音が聞こえる。平和な音だ。さっきまで人を殺してた人間の横で食べている
「ミアリスさんの時もこのように無言だったのですか?」
「ミアリスは関係ない」
「ミアと呼ばないので?」
「今の俺に呼ぶ資格はない」
セレンが黙った。パンを齧る音だけが続く
しばらくして
「はい、大丈夫ですよ」
「おんぶ、してくださいね」
「はい、わかりましたよ」
走り出す。夜の森を鎧の足音だけが響く
「私に質問しないのですか?」
「聞いたら答えるのか?」
「今なら、答えれるのは答えますよ」
「まず最初に、あった時に何かしたのか?」
「何故そう思うので?」
「警戒をできなかったから」
最初から何か違和感があった。あり得ない、初対面の人間に対して何も感じなかったのは初めてだったから
「闇魔法、無警戒をつかいましたね。じゃないと会話が成り立ちませんでしたし」
「私が殺されてました」
つまり、最初から計算の上だった。俺の警戒心を解いた上で、剣とバングルを渡した
「闇の武器を渡した理由は?」
「色々ありますが、最初はあの魔族にあなた方が殺されてましたから」
「そうか」
「俺たちに何をさせたかったんだ」
「それは、生きて欲しかったですからね」
嘘か本当かわからない。でもセレンの声は揺れなかった
「何故、俺たちだったんだ?」
「それは、貴方達じゃないとできない事があるからです」
「できないこと?その目的は?」
「それは、今は言えません」
「何故だ?」
「言うと、結末が悪くなるからです」
セレンの声が少し硬くなった
「私の口から言うと、今の貴方は死にます」
「直球だな」
「当たり前です、意味が無くて私は行動はしません」
「貴方の選択次第では、私は地獄に堕ちますよ」
「例えば?」
「私を殺せば、私が見た予言は変わります。」
「ただし、貴方も死にます。それを望みますか?」
「そうだな、望まないな」
殺す理由がない。こいつは俺を助けた。理由がどうあれ
「私の未来はあくまで可能性の未来ですから」
「あなた方が決めて貴方方が動く」
「私はその先しか見れません」
「おかげで、次に会うのは私の生まれ故郷だったはずなんですが変わりましたから」
「万能ではないって事か」
「はい、良さそうに見えて本当に使い勝手がわるいんです」
「人の意思一つでもしかしたら変わるから困るんですよね」
セレンの声にため息が混じってる。珍しいな
「それで、俺が頑張った結果がこれか」
「いえ、これ自体にも意味はあります」
「殺し回ることに意味が?」
「はい、先程言いましたが私が教えたら未来が変わりますから」
「まぁ良い、俺は魂の宗教を殺すまでだ」
したくないよな、こんな復讐
うるさい、俺のエゴだから良いんだ
こんな目に合わせた奴らは、皆殺しだ
考えを振り払うように走る速度を上げた
セレンは俺の上で、パンの残りを食べてるみたいだ。背中でもぐもぐしてる
「なぁ、セレンの生まれ故郷ってどんな場所なんだ?」
「私の故郷ですか、のどかな場所ですよ」
「ただし、最も死に近くて最も死が遠い場所です」
「あと私が、想像以上に生きていると言ったら信じますか?」
「信じる」
「あら、早い」
「不死があるなら不老もあるはずだし」
「セレンは得体が知れない」
「最初から変わりませんね」
「そうだな」
その後はたわいもない話をした。
セレンの故郷での食べ物の話、闇の精霊が甘いものが好きな話
バングルの手入れの話。闇の騎士と闇の聖女が、世間話をしながら夜の森を走ってる
異常だ。でも今の俺には、この異常が噛み合っている
セレンが夜になり、寝た後も俺が走ると朝になったらセレンが起きて
「そこです」
次の場所が見えてきた、だが
山をくり抜いた要塞のような場所がみえてる
次話辺りから色々出ます




