64話、闇に堕ちた魂は何を誓う?
闇を落ちる
暗い、痛い、息が苦しい
闇に包まれすぎて落ちてるかすらわからない
胸の奥が、寒くなってきてる
身体の中が死ぬ前に悲鳴をあげる寒さかな
手で胸を押さえたいが、全身が焼かれて動かない
けど、身体から、体温がなくなる感覚がある
何故か、スープの味を思い出した。2度と飲めない味
どうして、ミア...いまだに信じれない
お前は、裏切られる運命なんだよ
かもな...違和感を感じてるが
シンの方が良い男だからと言う言葉が脳裏に響く
「闇魔法、無痛」
「闇魔法、意識共有」
(間に合いました)
頭の中に声がした。知ってる声だ
目を開けると、黒い雲に包まれていて
正面にはセレンが立ってた。
セレンさん?
(今、私の意識とアーキさんの意識同士で会話できてます)
(じゃないと、喉も焼けて喋れませんから)
(なぜ、シンア達があなたを殺そうとしたかわかりますか?)
何故?俺はこんな目に
(シンアは魂の宗教の幹部です。各地で虐殺を行い、人造の魂や、魂を混ぜ合わせたり実験を繰り返しています)
魂の宗教?
(光と闇の聖女に管理された場所から逃げた存在が作った組織です。私達の管轄から出た脅威。だから私達が責任を取らなければならない)
(シンアの目的はミアリスさんの身体、おそらくその最終段階に使われます)
(けど、私達は彼らを直接攻撃できる力がない。)
(ミアリスさんも最終段階が終われば殺人に加担する事になるでしょう)
そんな事のために俺がこんな目に?
(復讐したくありませんか?)
(もしそうなら、手を貸しますよ。アーキさん)
(今のままなら、死にますから選択肢は無いですと思いますよ)
選択肢はない。死ぬか、力を得るか
セレン、力をくれ
(わかりました。あなたは今この時より私と共に歩くダークナイト。寝ることも許さない、誓いを果たさないとその呪縛からは逃れられません)
身体が闇に包まれて、目の前の視界が戻ってた
少し動かしても痛みも無い、視界に映る手にはガントレットが付いていた
胸を見ると黒い鎧を俺は着ていた
立ち上がり手足と頭を確認したが頭もフルフェイスの兜に包まれてる、少し動いたら稼働部は動かしやすい
軽いな、むしろ軽すぎて強度があるか怖いくらいだ
崖の壁面に映った自分を見た
黒い鎧に包まれた人間の形をした何かだった
顔が見えない。目の部分だけが揺らめくように光ってる
これが、俺か
(ダークナイトは首を斬られても死なない不死です。回復はしますが微々たるもので気休め程度、痛みは感じます。どんな致命傷でも死なない。ただしダークナイトが解けたら全ての傷が一度に噴き出します)
(死にたくないなら傷つかないことをお勧めします)
セレンの目は、笑ってなかった
いや、余裕が無いのか?
不死性か...死にたくは無いが、今は生きたくもない
お似合いだな
(誓いは何にしますか?)
俺の誓いは、俺をこんな事にしたシンアとシンアに繋がる魂の宗教を殺し尽くす
(あら?ミアリスさんは入れないので?)
(ミア自身が求めた結果なら、俺はもう要らない)
セレンが一瞬、凄い顔をしたが笑顔に戻った
(…そうですか)
俺をこんな事にした元凶は許さないって言うエゴであり、ダークナイトじゃない
今からはただの、殺戮者だ
(あなたにこれを)
セレンが闇から取り出した剣を両手で俺に差し出した。黒い柄に入った剣か
セレンから剣を受け取り、剣を抜いた
これは、剣先からフラーが赤いロングソード?
手に取ると、すごく手に馴染む
重さもちょうど良い
(その剣は濡れ血の剣といって切った数だけ刀身が赤くなる剣です)
(私から、貴方に切った数を忘れないようにするためにする剣ですね)
濡れ血、ミアの通り名が今手元に来るなんて皮肉だな
「闇魔法、言霊」
「声を出してみてください」
「出てる、声はなんか違うような?」
「渋くて私は好きですよ」
俺が歩き出すと、後ろをセレンが付いてくる
「...いつまでついてくるんだ?」
「聞いてませんでした?私はずっとついていきますよ?」
「私、力がなくなりましたから」
「そうなのか?」
セレンは笑顔でコチラを見て近くを歩く、歩調を合わせないと歩きづらいだろうから合わせるか
「ええ、ダークナイトは私の全力をつかう闇魔法ですから」
「今、使えるのは不可視とアーキさんに関連するちょっとした魔法だけです」
「良いものは起きないぞ?」
「わかってたら助けないですよ」
歩くと、足元に色の違うのが見えて、注視をしたら俺の笛だった
少し周囲を確認していると、視界内にミアの笛も落ちていた
なぜか、二つの笛に引き寄せられるように身体が勝手に動き手が伸びた。
俺とミアの笛を拾って、一緒に鎧の中にあるポケットに入れた
向こうは不必要だから捨てた要らないはずなのに
俺の冷めた心が、少しだけ温かかった




