56話、絶望の選択(R15注意)
神様がいるなら、絶対に俺のことが大っ嫌いで俺の決意を殺しにくるんだろうな
丁字路、俺はどちらに向かえば良い?
左は妊婦が山羊型の魔物に追われている
右は子供がゾンビに追われている
ミアは間に合わない
くそがぁぁ!
左右を見る、決めれない
決めろ
左を見た瞬間、何故かミアと重なった
走れ!
俺は全力で妊婦に向かった
妊婦が山羊に踏まれそうになった瞬間に山羊を蹴飛ばして後ろに山羊が倒れた
その隙を見逃さず、倒れた山羊型は立ちあがろうとするが首を刺したら動かなくなった
刺した後、正面を見たら
地獄絵図だった
「殺して」
首から血を流した兵士が立ち上がってる
目に光がないゾンビが声を出していた
「痛い、痛いよ」
光のない目がこちらを向いてる。声だけが人間のままだ
それを切り捨てる兵士達、目が死んでいた
味方を切り捨てないといけないと割り切ってるようだ
助けた妊婦に声をかける
「動けますか!?」
「はい、ありがとうございます」
妊婦だから急いでは走れない、周囲を確認しながら
「こちらです!」
俺が来た道を妊婦のペースで走ろうとした
「うわぁぁぁぁ!」
行かなかった反対側から、子供の悲鳴が聞こえた
「痛い!痛いよぉぉぉ!」
「だれかぁぁぁ!」
妊婦が耳と目を塞いだ、気持ちはわかる
でも俺は嫌だ、見たくない。
けど進むためにまっすぐ見ると
生きたままお腹を食われてる子供がこちらを見ていて
泣いていた目は光が無くなって目が地面の方向を向いた
助けられたのに。もう少し早ければ。俺が
今は何も考えるな、歩く
感情を殺せ
歩く
歩け
迷っていた丁字路の位置に着いた、早く逃げないとこちらにくる
「こちらです!」
兵士を連れたミアの声が聞こえた、
「ありがとうございます」
妊婦さんはお礼を言って小走りでミアの方向に向かうのがわかるが
だが、俺は視線が離せない。なぜなら
さっきの子供がお腹を空洞にして立ち上がったから
口が動いた
「なんで、果物をくれたのに助けてくれなかったの?」
子供の手には、俺のドライフルーツの袋が
子供の笑顔が、俺が、守るべき大人がいなかったこの子は
過去の小さい俺に見えた
この子の絶望を知った、脚の力がぬけた
「ごめん」
このごめんは、誰に対してのごめんなんだろう
ゾンビになった子供が俺に、向かってくる。身体が、動けない
ぴぃぃぃぃぃ!
ミア?
「しっかりしなさい!」
笛とミアの声が頭を貫いた。振り返ると、ミアが俺の肩を掴んでる。左目が青と赤黒が混ざった色をしてる。悲しみと怒りが同時にある
右手をゾンビに向けてミアの炎がこどものゾンビと周囲のゾンビをまとめて焼き払う。
子供のゾンビが、無感情のまま焼かれ杯になった
俺の袋も焼けた
「今助けられる人を助けるの!止まったら全員死ぬ!」
ミアの言葉を聞いて俺も剣を握り直す。そうだ動け、考えるな今は
まだ、助けられる人がいる
今は、考えるな。余裕ができたら考えよう
「ありがとう、生きてる人を助けよう」
「うん、一人でも多く」
少し、ミアと丁字路を右に曲がり走ると
やはり地獄絵図だったが、道の中心に光る丸いものが見えた。
ミアがそれを見て叫ぶ!
「あれがエルダーウィスプよ!」
俺は光る丸いものをショートブレイドで切ると、感覚がない上にすり抜けた
くそ、非実体系かこいつ!
非実体ならこの剣で切れますよ
セレンの言葉が浮かんだ
ショートブレイドを鞘に納め、闇の剣を抜いた
エルダーウィスプは切られないと思ってるのか近くで浮いてる
こいつのせいであの子供は!!
歯を食い締めながら切った、手ごたえは無いが
霧散した
「終わりかな?」
「うん、だって」
周りのゾンビが、全員倒れている
闇の剣を納め、ショートブレイドに持ち替えた
「あっけなかったけど、これで大丈夫だと思う」
他の人はもう知り合いを殺さなくて良くなったなら
なんで、果物をくれたのに助けてくれなかったの?
吐きそうになる、頭でリピートする
考えるな、今は考えるな。
今だけは忘れろ
二人で通りを駆けると、北門の広場が見えた。そこで巨大なミノタウルス二体が暴れてる。建物の二階くらいの高さがある。周りに冒険者の集団が戦ってるが押されてる
近づくと、大剣を振るうリーダー格の男と、それを支える冒険者達
それとクレストのメンバーがそれぞれ戦っていた




