45話、イシッケと、日常の崩壊
昼になり、ミアは色々なことに興味を示した
中心にある水飲み場、露店、色々な物を見ては目を輝かせてる
「見るものが沢山あるね」
「ねぇ、あれ」
ミアが指差した方向にはイシッケの一夜干しが置かれている露店があった
「結局、港町に居たのに食べなかったから食べたい」
「俺もなんだよな、食べるか」
確かに、俺も金無くて蒸しパンにしたんだよな
一尾だけでもでかいな、ミアが食べられないだろうから二尾ではなく一尾にするか聞いてみるか
「切り開きの一尾だけにする?」
「私と分けるの?」
ミアが意外そうに俺に言ってきた、気遣いはできるよ?
「うん、沢山は食えないだろ?」
「なんでそんな気遣いは出来るのにデリカシーは無いの?」
「あるよ!?」
ミア、言葉のナイフが効いてるよ!?
「無いわよ、そこもかわぃ...なんだけど」
うまく聞こえなかった、なんて言ったんだ?
「なんだって?」
「うるさい」
理不尽に叩かれた気がするが、スルーしようかな
なぜなら、ミアはなぜか左目は銀色だったから
「いらっしゃい!」
「一尾ください」
「はーい、どうぞ」
そのままドン!っと渡された、どう食べるか
「食べるならあそこの机に大皿があるからそれに乗せると良いよ」
一夜干しって、確か炙るんだっけか?
「たしか、炙るはず・・・」
「火魔法でやってみる?」
「やってみようか」
ミアが両手で火を出してくれた、これ、上手く行ったらグリルができるな?
「パチパチ言ってるね」
「これくらいかな?」
ミアが火魔法でイシッケの身を炙ってくれて表面から油が滴ってる
俺が骨を取るか
「骨を取るね」
イシッケの骨を取ると、乾いた身が骨ごと取れて、湯気立つ身が出てきた
「良い匂い」
独特な匂いだが良い匂いだ
身を取り、二人で一緒に食べた
「美味しい」
「美味しい!」
ミアの目が金色になって、箸が止まらないみたいでパクパク食べている
俺も止まらない、あっという間になくなった
「美味しかったね」
口を拭いた後、二人でゆっくりしてる
無言の時間が続く、けど嫌じゃ無いな
「うん、お腹いっぱいになった」
満足しましたって声をだしたミアだけど
今日、ほぼずっと左目が銀色だったなぁ
そんなミアを見て、その後に空を見て話し出した
「明日でここともお別れかぁ」
「良いところだったね」
「うん、良い思い出もできたしな」
ミアは色々思い出してるようで笑いながら声を出した
「そうね、次は何処かな?」
「北に行ってみるのもありかも?」
「そうだね、次は北にいこう」
「どんな所かな?」
「案外変わらなかったりしてね」
お互いに笑い合う、本当に自分でもわかる甘ったるい空気だ
笛も胸の中で揺れてる
その日は早く解散して早く寝た
こんな日が、続けたいな
3日目の朝、俺たちはいつも通りに待ち合わせて仕立て屋に向かった
「服、綺麗になってる」
仕立て屋で受け取った服を着替え室に向かい、街の服を脱ぎ、いつもの服に袖を通した
着替えてきたミアを見ると切られた箇所が嘘みたいに綺麗に直ってる
「そうだね、綺麗だ」
店主にお金を渡し外に出る
ミアも自分の服を確認しながら満足そうだ。やっぱり自分の服が一番落ち着く
けどあの服も名残惜しいな
「ねえ、次はどこ行こうか?」
「そうね、行く前に食べ物を買おう。旅の保存食も補充しないと」
「そうだね」
ディープウッドのお店の保存食はたくさん種類があって目移りしたが買うものはもう決まってたから手短に買った
だが、買い過ぎた
「だいぶ買ったね」
ミアもやり過ぎたとわかってるのか保存食用の袋がぱんぱんになった
というか袋に押し込んだミアと俺
中身は干し肉、スープ用の固形物、ドライフルーツ、ショートブレッド
後雑多なもの、携帯用の研磨石を買った
食べ物はミアが選んだものばかりだが、もう木の板を選ぶ勇気はない
「何があるかわからないからね」
ミアが荷物を整理しながら言う。確かに、魔族と戦った後だと準備しすぎということはない
「ギルドで行き先を決めようか」
「うん、わかった」
不意に剣が
震えた
バングルも同時に震えてる。
俺とミアで顔を見合わせて、セレンさんの予言を思い出した
すぐさま、背中合わせで構える
周りを見回す
視線は感じない
人通りも普通だ
だが、確かに 何かが いる
「誰だろ、嫌な感じがする」
「あぁ、見られてるような、、凄い嫌な感じだ」
背筋を逆撫でされてるような、本能が警報を鳴らしてる
敵がいるはずなのに、周りを見ても姿が見えない。
「とりあえずギルドに行こう」
なんとか、自然に歩くように装いながら、後ろを警戒しながらギルドの中に入った
中は、思ったより冒険者は居なかった
「アキ、闇の精霊が伝えたい事があるらしい」
「わかった、裏手に回ろう」
ギルドの中を突っ切り、裏手の扉付近に来た瞬間にミアが闇魔法を唱えた
「闇魔法、可視」
ミアが唱えると、闇の精霊がみえたが慌てている
いや、焦っている?
精霊が急いで口を開いた。
「ミア様、セレン様からの予言を覚えてますか?」
ミアは思い出すように答え出した
「もし、ギルド内で闇の精霊から可視の話をされたらセラスに向かう馬車に乗りなさい。」
「そうです、今のあの人と戦うも話すもダメです。セラス以外に行ったらすっごく良くないです。人に紛れて街から出てください」
セレンの予言。あの人が至急と言うなら相当まずいやつだ。
俺も当たったしな
「闇魔法、不可視を付けて逃げるように私もセレン様から言われてますのでこの間に逃げましょう」
「わかった、ミア」
「うん」
「闇魔法、不可視」
ミアが俺たちに闇魔法をかけてくれた。
ギルド内を歩いたら誰もこちらを見てないし気付いてないのがわかった
扉を開け、移動しようとした時
「せっかく見つけたのに、闇魔法か。必ず見つけてやるぞ」
後ろから声がした、近い。
「必ず見つけてやる、なぁ輪廻のバングルと輪廻の剣を持った2人」
声の方向を探して振り返った瞬間、目が合った気がした
・・・あいつは
一般の人に見えた。普通の格好をして、普通に立ってる。だが気配が全然違う。今まで感じた事のない種類の気配だ。
目が 全て黒い 表情が ナイ
一発でわかった。
あいつは、関わってはいけない
「ミア、走れ」
「わかった」
俺たちは馬車乗り場に向かって一目散に走った
振り返らなかった、見たら奴がこちらに向かってきそうだったから
急いで門にいたセラス行きの動き出そうとした馬車に乗った
「闇魔法、可視」
ミアが聞こえない声で姿を出した後、馬車の中には見知った顔が居た
ここから流れが変わります




