44話、魔法の説明
2日目
「今日は何しよう?」
昨日と違う服のミアが宿の前で待ってた。杖を腰にかけてるのが新鮮だ
「ミア、こんな時に言うのもなんだが」
「ミアの魔法についてほとんど知らないから何ができるか知りたい」
ミアが少し目を丸くした後、嬉しそうに頷いた
「そうね、言ったことなかったね。説明するね」
「嬉しいことを考えたら強化、怒ったら攻撃、哀しいは回復、楽は支援って聞いたけど」
セレンに言われた内容を思い出しながら確認する
「一つの感情だとなかなかうまくいかないのよね。そんなに怒れないし」
「多分、普段は人並み程度の力しか出せないよ」
ミアが杖を横に構えて小さな火を出してみせる。確かに、普通の火魔法だ
「そっか、じゃあダグスみたいなのがいたら」
「わからないけどわかるのは」
「哀しみの感情の時ありえない事がおきた」
ミアの声のトーンが少し落ちた
「ありえない事?」
「アキが死にかけた時、回復できたんだけど普通はあそこまで回復はさせれないの」
「専門にしてる人だって良くて骨折、重傷を時間かけて治療。かなりの時間がかかるの」
「胸の骨だって、普通は治せないのに治した」
「前は私の力って言って喜んだよ。けど、今思うのはまるで化け物よ」
ミアが自分の手を見つめてる。手が少し震えてる
「俺はそのおかげで助かったし、もし化け物なら俺が化け物にしない。ミアはミアだ」
ミアの手を握った。震えが止まる
「何それ」
呆れた顔なのに、目が潤んでる
「なんだろうね、何も考えずに言ったかも」
本当に何も考えてなかった。でも嘘じゃない
「気が楽になったかも、ありがとう」
ミアが握り返してきた。さっきより強い
「ミア、極限集中のコントロールってどうなるんだ?」
「試してみる?」
「うん」
人のいない場所を探して街の外の広場に移動する。ミアが杖を構えてこちらに向かい合った
「いい、行くよ」
俺は左のこめかみにデコピンをした。極限集中に入る。呼吸が止まる。世界が静かになる
「闇魔法、同調」
ミアの声が聞こえた瞬間、何かが変わった
俺の呼吸がミアの呼吸と重なっていく。止まっていた肺が、ミアのリズムで動き出す。吸って、吐いて。俺の呼吸じゃない、ミアの呼吸だ
極限集中の視界はそのままなのに、呼吸ができてる。これなら酸欠で倒れない
すごいな、これ
右のこめかみにデコピンをして解除する
「ミア、闇魔法使えたんだね」
「うん、バングルが教えてくれたんだけど…なぜか闇魔法は口に出さないと発動しないの」
ミアが顔を逸らした。耳が赤い
「恥ずかしいからあまり言いたくない」
「数式魔法にも名前があるの?」
ミアの耳がさらに赤くなった
「あるわよ、恥ずかしくて言わないし敵にバレるから言わないだけ」
「言ってみてよ」
「地走りの炎舞!」
ミアが杖を振ると炎が螺旋を描いて飛んでいった。かっこいいのに本人は顔から火が出そうになってる
「もう言わない」
しゃがみ込んで顔を隠すミアの背中が真っ赤だ。可愛いけど言ったら殴られる




