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第96話 騎士団選抜トーナメント大会④

 グラリと下位貴族の身体がくずれ落ち、観客から歓声が上がる。試合は激しく続いていき、疲れだした下位貴族の騎士が、力任せの連撃を浴びせたが、傭兵の防御が固い。


 何度も剣が打ち合う音がし、火花が飛び散る中、ついに傭兵が下級貴族の剣を弾き飛ばし、喉元に剣を突きつけた。


「勝負あり!アイザック、勝利!」

 平民の傭兵が勝利したことに、会場から拍手が沸き起こる。


 シュレア姫は特別席から、緊張した面持ちでそれを見守っていた。王妃さまがそっと手を重ねて握ってくれるのが、心強かった。


 勝者は花捧げの儀式で、花を差し出した令嬢の1人から花を受け取る。傭兵はシュレア姫の花を選んだ。


 受け取った花──シュレア姫の青いチュルフィー──を兜に飾り、観客に礼をした。

 次の試合はより注目を集めた。上位貴族の令息同士の対決だ。


 どちらもイケメンの為、観客の歓声がひときわ大きくなる。まあ、すぐに兜をかぶってし合うので見えなくなるのだが。


 パワータイプと、素早い身のこなしが得意な、正反対の対戦相手だ。兜をかぶり、剣を抜き、構えあって、戦闘が開始する。


 素早く接近し、連続の斬撃を放つ相手に、パワータイプがそれを盾で受け止めると、反撃の一撃を叩き込んだ。吹き飛ばされた相手は転がって避ける。


 重い一撃が空を切るたび、風圧が観客席まで届くかのようだ。

「凄いですね……どちらがレックス侯爵家の令息でしたっけ?」


「あちらのパワータイプの令息がそうだね。勝利を妹に捧げるつもりなのだろう。」

 ラヴェール王子が答えてくれる。


 素早さ特化の騎士は巧みに回避し、相手の脚を狙った低空の攻撃を繰り出す。甲冑の隙間を突き、レックス侯爵家の令息をよろめかせる。今日一番の大歓声がわいた。


 試合は白熱し、両者とも汗だくになりながら剣を交わした。ついにレックス侯爵令息が渾身の一撃を放つ。


 素早さ特化の騎士は盾で受けたが、衝撃でそのまま吹き飛ばされ、砂地に倒れた。

「勝負あり!レックス侯爵家、コーリー・レックス、勝利!」


 観客の歓声がさらに大きくなった。力で単純に押したように見えて、技巧派な相手をうまくかわしていた。なかなかの熟練者だとシルヴィオは思った。


 レックス侯爵令息は、当然妹の花を選んだ。誇らしげな様子に、妹の令嬢もとても嬉しそうに見えた。


 続いて平民同士の対決。片方は若手で、片方はかなりのベテランに見えた。若い騎士はは軽やかなフットワークで相手を翻弄し、剣を舞うように攻撃を連発した。


 ベテラン騎士は経験で対処し、堅実な防御からカウンターを狙う。二人の剣が激しくぶつかり合い、火花が散る。若い騎士がフェイントを交え、相手の手の甲を斬りつけた。


 ベテラン騎士は耐えたが、衝撃を受けた手の動きが鈍くなる。若い騎士は容赦なく追撃し、ついに相手を膝をつかせた。


「勝負あり!トビアス、勝利!」

 平民だから苗字がないらしい。負けはしたが、よい戦いを見せてくれたベテラン騎士に、人々は惜しみない拍手をおくった。


 トビアスもシュレア姫の花を選び、その後の勝者たちも、大半がシュレア姫の花を選んだ。それを横目で睨む令嬢たち。シュレア姫は困惑しつつも微笑んでいた。


 今日の決勝が始まった。片方はレックス侯爵家の令息、コーリーだ。両者とも疲労を溜めつつも、最高の戦いを繰り広げた。砂塵が舞い、剣の音が響き渡る。


 ふとカロリーナのほうを見ると、いつのまにかガスパールがいないことに気がつくシルヴィオ。トイレにでも行ったのだろうか。気にはなったが、大会へと視線を戻す。


 相手が素早い連撃で優位に立つが、コーリーがの隙を突き、剣で薙ぎ払った。相手は避けきれず、鎧の隙間から身体を斬られ、血を流したのが遠目からでもわかる。


「これで終わりだ!」

 コーリーがトドメを刺そうとしたが、相手も最後の力を振り絞り、剣を突き出した。互いの剣が交錯し、両者とも倒れ込んだ。


 審判が確認し、手を上げて宣言した。

「勝負あり!レックス侯爵家、コーリー・レックス、勝利!」


 ラヴェール王子に解説を頼むと、どうやら打ち込んだ数が、コーリーの方が多かったらしい。それにしても凄い戦いだった。


 闘技場は大歓声に包まれた。レックス侯爵令嬢は、ホッと胸に手を当ててため息をついた。本日の優勝者と、明日の優勝者で決勝戦になる。レックス侯爵令嬢は、誇らしげな兄に、嬉しそうに微笑んで花を捧げた。


 気がつくとガスパールがカロリーナの近くに戻っていた。

「どこに行ってたんだろう。シーラ、ガスパールがどこに行ってたか知ってる?」



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