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第95話 騎士団選抜トーナメント大会③

 パーティーを開くのにはお金がかかるので、当然開催できるのは資産がある貴族になるが、成金タイプの貴族のパーティーには、上位貴族が集まりにくい。


 そうなると、つてがないと上級貴族の令息と知り合うチャンスはない。大体は、父親の仕事か、母親がお茶会で知り合うことでつてを作るが、そのとちらもない場合は、こうしてお金で花捧げに潜り込むのだと言う。


 起源は太古の恋愛文化にあり、騎士と令嬢の秘密の逢瀬を許容する風習から派生したと言われているらしい。


 令嬢、またはその代理の従者が、騎士の部屋の前に自分の家門の花を密かに置くことで、「私の部屋に来て」という誘いになる。


 一夜の過ちで妊娠し、上位貴族の令息に結婚を強いることが目的だ。貴族の名誉としては、貴族の令嬢相手に子どもができれば婚約せざるを得ず、下級貴族の令嬢にとっては上位貴族との結婚のチャンスとなるのだ。


 ただし、失敗すれば単なるスキャンダルとなり、家門の評判を落とすリスクがある為に、当然すべての令嬢がこれをするわけではなく、一部の野心家が行うのみなので、特に禁止されてはいない。


 令嬢の誘いに乗ってしまった令息側にも責任がある為、子どもが出来たとしても、その結果であり、責任を取るのは当然のこと。という認識があるからである。


 ──トーナメント大会の当日となった。大会階差にふさわしく晴れ渡った空の下、王宮所有の広大な闘技場では、騎士たちの熱気と観客の歓声が渦巻いていた。


 シュレア姫は、王妃さまや他の貴族令嬢たちとともに、特別席に座っていた。シュレア姫の席は王妃さまの隣である。


 シュレア姫の初の公式行事として、錬金の聖女の名にふさわしい優雅なドレスを纏い、周囲の視線を集めている。そして開会宣言とともにトーナメント大会の本戦が始まった。


 闘技場に薄くしかれた砂地は、朝の陽光を浴びて白く輝き、周囲の観客席は貴族だけでなく、この日を楽しみにしていた平民たちまでもで埋め尽くされている。


 オークランド王国の国旗と、騎士団の旗がはためき、トーナメント大会に参加する騎士たちが次々と入場した。


 甲冑を纏い、剣や携えた彼らの姿は、威風堂々としていた。

 手を上げて大勢の声援に答える者、恋人と視線をかわしている者など、さまざまだ。


「やっぱり上位貴族の令息は人気ですね。」

 シルヴィオは、王妃さまたちとは離れた特別席で、ラヴェール王子やカロリーナとともに、シュレア姫の勇姿を観覧していた。


「そうだね、独身の高位貴族の令息は、令嬢たちの羨望の的だからね。」

 シルヴィオは、ラヴェール王子と話しながら、カロリーナにつかえているガスパールをチラリと目線のはしにとらえていた。


 いつの間にか、チェルレッティ公爵家に引き取られ、カロリーナの従者となっていたガスパール。本来であればこういう行事に子どもを連れてくることはないが、カロリーナが見せてあげたいと連れてきたのだそうだ。


 シルヴィオもシーラと護衛騎士を、ラヴェール王子はゼーと護衛騎士を伴っている。

 この場に連れてこられる従者は基本2人までだが、カロリーナは、そのうちの1人をガスパールにしたようだった。


 おかげでチェルレッティ公爵家に潜り込んでいることを知ることが出来た。

 シルヴィオに対し、まるで初対面のように振る舞って、かつ、可愛らしい子どものように演じていたガスパール。


 チェルレッティ公爵家の、他の従者たちからも、どうやら可愛がられているようだ。見た目は天使のようなので、騙そうと思えばより簡単なのだろう。


 本来シルヴィオが貰う筈だった体。シルヴィオはガスパールの全身をじっくりと観察する。どこからどう見ても、神の使徒にふさわしい見た目の愛らしさだった。


 前世で先生の前ではいい子を演じていた、ヤサカの姿を思い出す。彼はああいうのが得意だったな、そういえば、と思った。


 最初の試合は、下位貴族の私設騎士と、平民の傭兵によるものだった。両者は円形の闘技場の中央で、剣を抜いた状態で向き合い、審判の合図とともに剣を構えた。


「始め!」

 下級貴族の騎士が先に仕掛けた。素早いステップで間合いを詰めると、横に薙ぎ払いの一撃を放つ。隙をつかれて攻撃を受け止めることが出来ず、金属の甲高い音が響く。


 傭兵は盾で剣を押し返すと、そのまま反撃し、鋭く剣を振り下ろす。下位貴族はその勢いに後退したが、冷静に距離を保ち、今度は槍のように突きを繰り出した。


 傭兵は身体をひねってそれをかわし、下位貴族の首筋に柄を叩きつける。

 血を極力見せてはいけない為、直接首に切りつけられないのだ。



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