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第97話 狙われたシュレア姫①

 シルヴィオはシーラを呼び寄せると、シーラはガスパールとゼーと共に、離れたところに従者として立っていた為、そう尋ねた。


「あの子どもですか?さっき誰かから花の入った籠を受け取っていましたね。何やら頼まれていたようです。そのまま籠を受け取って、楽しげにどこかに行きましたよ。」


 シーラはそう答えた。花の入った籠……?シルヴィオは、負けた兵士には子どもが花を配ることになっているんだろうか、と、なんとなく自分を納得させた。


 初日が無事に終わり、王妃さまがシュレア姫を、闘技場に集まった全員に改めて紹介する。シュレア姫の聖女としての地位が、さらに確固たるものとなったその時だった。


【デイリーミッション。

 シュレア姫を、ガスパールと、ブルート伯爵令嬢の魔の手から救え。

 報酬:世界樹の種。】


 デイリーミッションが発動する。

 先ほどガスパールがいなくなったのは、影で何かをしていたかららしい。だが、ブルート伯爵令嬢の魔の手とはなんだろうか。


 王妃さまの元へ向かうという、ラヴェールとカロリーナと別れて、シルヴィオは闘技場のトイレに行くと告げた。


『シュレア姫を救えって、どういうこと?』

【花捧げの儀式の、裏の顔はわかりますか?】

 とデイリーさんが尋ねてくる。


『裏の顔?花捧げに選ばれた令嬢が、騎士の部屋の前に花を置くと、私の部屋に来て、という意味になるというアレのことですか?』


【そうです。ガスパールはブルート伯爵令嬢の従者に頼まれて、シュレア姫を表す青いチュルフィーの花を、騎士たちの部屋の前にばらまいたようですね。】


『え?それって、どうなるの?』


【シュレア姫の部屋に、騎士たちが大挙しておしかけるでしょうね。花を置いた状態で部屋に押し入られたら、何をされても誘ったほうが悪いと言われる場合もありますね。】


 花捧げの儀式は、大会のハイライトの一つだ。参加する騎士たちに、選ばれた令嬢たちが花を捧げ、勝利を祈る。


 だが、この花捧げには、表向きの華やかさとは裏腹に、知る人ぞ知る裏の顔があった。

 それは泊まりで参加している騎士たちの部屋の前に、自分の家門を表す花を置くこと。


 夜の闇に紛れて密かにアピールするのだ。「私の部屋に来て」と。もし一夜の過ちで子どもができれば、貴族の名誉にかけて結婚せざるを得ない為、上位貴族との婚姻を望む令嬢たちがたまにその方法を使う。


 だから、令嬢の部屋の前に護衛の騎士は立っていない。若い貴族の恋を邪魔してはいけないから、がその理由である。


 だから、もしも誰かが別の令嬢を語って花を騎士の部屋の前に投げ込んで、結果騎士たちが令嬢の部屋に来たとしても、それを止める人間が存在しないということだ。


 昼間の花捧げでは、シュレア姫が一番人気だった。騎士たちは、錬金の聖女として名高い彼女の花が、青いチュルフィーだと言うことを、そこでしっかりと認識している。


 騎士たちは競うようにシュレア姫の花を求め、シュレア姫ははにかみながらも、一人ひとりに花を渡し、祝福の言葉をかけた。


 周囲の令嬢たちは、そんな彼女の人気に、羨望と嫉妬の視線を向けていたことは、遠目にすらシルヴィオにはわかった。


『紫のパンジーを手に入れなくちゃ。』

 青いチュルフィーは、ストルツォ王国か、王宮の温室でなくては手に入らないが、パンジーは一般的な花だ。


 シルヴィオはトイレから出ると、シーラに慌てて頼んだ。

「シーラ、紫のパンジーを大量に手に入れてくれない?今すぐ!」


「今すぐ、ですか?それなら……。」

 シーラは護衛の兵士をチラリと見てから、声を潜めてシルヴィオに囁く。


「ギィたちに集めさせては?影渡りを使えばすぐに戻って来るでしょうし。」

「そ、そうだね!ギィ!」

「ギィ?」


「みんなと紫のパンジーをたくさん集めてきて!えと、お金は……。」

「こちらに。」

 シーラが銅貨や銀貨を手渡す。


 ギィたちは人に見えないので、勝手に取ってくることになるが、花屋から持って来るのであれば、お金は置いて行かせたい。


「これを使って!」

「ギィッ!」


 ギィたちはスキルによって、毎日1体生み出すことが出来る為、既にかなりの数担っている。普段は影に隠れてギィだけが表にいるが、全員そろえば1000体を超えるのだ。


 ギィたちが戻ってくる間、シルヴィオは顎に指を当てて悩んでいた。


「なんでガスパールは、そんなことに協力したんだろう……ブルート伯爵令嬢と面識でもあったのかな?」


「ブルート伯爵令嬢がどうしたのですか?」

 シーラに声をかけられてハッとする。


 シーラは怪しい人物にガスパールが花の入った籠を渡されて、何かを頼まれたとは言っていたが、それがブルート伯爵令嬢と関係があるとは言っていない。


 シルヴィオがそのことを知っていたらおかしいのだ。シルヴィオは、シーラにどう誤魔かしたものかと考える。そしてなんとか、それらしい言い訳を思いついた。



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