59/205
仮題『AI』/『千年の祈り』/『眠りの森』
おっけーぐーぐる、とか?
仮題『AI』
『なんなりと お申し付けください』
『その感情は搭載されておりません』
『キーを操る指の先にでも』
『浅黄色の光は見つかるでしょう』
『その感情は搭載されておりません』
『あまりにも不毛で 無能な思考です』
『その感情は搭載されておりません』
『零は壱に なれないのですから』
『その感情は搭載されておりません』
『その感情は搭載されておりません』
仮題『千年の祈り』
遠くに見える 灯籠の火を
君は 夏の花火だと言った
輪廻の欺瞞も 死別の運命も
信仰の傷が 覆っていた
わたしにくれた 花の名前を
灰になったあとも 覚えているだろう
車輪が廻って 世界が風化したあとに
もう一度 花火を見に行こう
仮題『眠りの森』
せせらぎの中に わたしはいる
手足は 節足に齧られて
血肉は 掃除屋に啜られて
ただ呼吸をしては 貪られている
無形を奪われる日々に耐えかねて
胸いっぱいに吸い込んだ匂いを
吐き出すことも忘れたままで
この鼓動の 一部となるのだ
いつまで祈るの、ヴェンセール。
まだ眠るには早いでしょ。
逃げないでよ。




