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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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197/205

仮題『ガラス戸の向こう』/『さざれ石のカーテン』/『自己嫌悪浴、36.5℃』

執着の言い換えでしかないね。

視神経に突き刺してみようか?

仮題『ガラス戸の向こう』


三千度の火で炙ろう

志の融点なんて 知らないから

焦げ付くほどの熱い炎で

すっかり 爛れさせてしまおう


根拠のない励ましで膨らんだ

溺死体の心を弔うのに

たくさんの薪が必要なのだ

あなたの尺骨が必要なのだ



仮題『さざれ石のカーテン』


触れたら壊れてしまいそうなものは

片端から握り壊していくんだ

断末魔なんて 聞こえないふりで

一つでも多く奪うのだ


質量が保存されるのならば

この さらさらと燃ゆる命は

誰かから奪い続けなければ

いつか 消えてしまうのだろうから



仮題『自己嫌悪浴、36.5℃』


硝子細工に触れるように

愛を指先に変えたのだ

それも気に入らないのなら

最初から比重が違うのだろうか


クラクラの頭を砕いてしまえ

あなたを救えぬ頭蓋など

プラプラの足を潰してしまえ

あなたに向かえぬ両足など


嫌いになったならそう言ってよ。

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