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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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188/205

仮題『鉛筆削り』/『踏み切り』/『空蝉』

がり、がり、がり。

刃の感覚が気持ちいいね。

上がるまで待ちなよ。

もう少しなら生きられるでしょ?

仮題『鉛筆削り』


描くために削ぐのだと

線を引くために削ぐのだと

都合のいい言葉を並べて

また 刃を入れていく


私が最初に削ぐべきは

その弱さなのだとは知っていた

知っていても 逃げなければ

呼吸困難は嫌だったのだ



仮題『踏み切り』


カン カン カン カン

打ち鳴らす音が響いている

あちらとこちらを分けるように

また 電車が通り過ぎていく


彼岸と此岸で向かい合って

二度とは届かぬ夏帳

バーが上がれば閉ざされる

手を振って 踵を返して 左様なら



仮題『空蝉』


抜け殻だなんて言わないで

あの日のふりを繰り返して

がらんどうの自分を隠すことすら

しないままで できぬままで


昏い クライの言葉遊び

痛い イタイの言葉並べ

いつか 私を満たして頂戴

それまで虚しいままでいるわ


瑕、傷、疵、気付いて?

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