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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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186/205

仮題『雨啼く夜に』/『上書きする夏模様』/『陽を見つめて』

いいじゃん、そのままでさ。

暑い日々も、あとどのくらいかな?

仮題『雨啼く夜に』


独りのまま 月すら見えず

ひたすら揺れる 寒さの中

涙は止まらず 頬は乾かず

孤毒が迫る 迫る 迫る


暗がりは私を殺してしまうから

涙は私の命を凍てつかせてしまうから

水滴を掬う あなたの指先を

一輪のまま 待っている



仮題『上書きする夏模様』


厚塗りの景色が侵していく

水色の憧憬の死体を

忘れぬようにと水を撒いた

それすらカラカラに乾涸びて


さようなら 夏休みよ

酷く煩わしい蝉の声よ

下らない日々を抱き締めて

僕は死んでいく 僕は死んでいく



仮題『陽を見つめて』


オレンジ色に焼き付いてしまえ

この景色を忘れぬように

愚かな私は 句読点ごと

放り込んでしまうから


褪せないで 消えないでと

古くなったフィルムを抱いて

あなたと共に飛び込んでいく

あの 忘却の火の中に


手拍子を忘れないでね。

ひとりきりなのを忘れられるでしょ?

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