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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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185/205

仮題『讃歌、酸化、散華』/『篝火:散逸』/『豪雨』

手の舞い足の踏む所を知らず、か。

知らないうちに、眠りに落ちて。


仮題『讃歌、酸化、散華』


徒歩二百秒の理想像が

ふらつく足を支えていた

恋人ごっこの果てにあるのは

盲いた目か 縊死の縄か


乳化の気配もない君を

圧し折ってしまえたなら きっと

この苦しみも終わってくれるのだ

この物語は綴じられるのだ



仮題『篝火:散逸』


吹き消してしまえばいいのだ

ほんの小さく灯ったそれを

きみが最後に憩う場所を

踏み荒らしてしまえばいいのだ


それができないのが きみの弱さ

それができないのが きみの強さ

そんなことを望んでしまうのが

どうしようもない わたしの弱さ



仮題『豪雨』


ぽつぽつと肌を打つ

ぽつぽつと頭を濡らす

涙は手のひらいっぱいに

哀しみを溜めるでしょう


ざあざあと責め立てる

ざあざあと追い立てる

その冷たさは波のように

私を殺す 寒さのように


雨宿りすら、許さないよ。

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