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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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182/205

仮題『群青』/『追憶癖と自傷癖』/『孤独な死の許容範囲』

ジリジリと焼いてしまおう。

帰り道は見当たらないよ。

帰りたいと思わなければ、ね。

仮題『群青』


君が溶けた夏の匂いだ

君が解いた空の言葉だ

太陽と共に沈んでいった

褪せた絵の具の色なのだ


空を塗るなら一色がいい

青空は眩しすぎるから

空を塗るなら一色がいい

夕暮れは悲しすぎるから



仮題『追憶癖と自傷癖』


毒々しく淀んだ風

溶け落ちてしまった街並み

水底に沈んだ思い出や

もう 走馬灯でしか会えない人


脳髄に焼き付いた三千枚を

それでもいいと受け入れるために

まだ 魂の精錬が済んでいないから

痛いのだ 苦しいのだ



仮題『孤独な死の許容範囲』


約束事を閉じ込めた籠

あなたによく似た 烏の羽

知らない癖に戸惑うよりも

欠けたピースに レジンを満たして


夏の空だ 冬の雲だ

秋の風だ 春の死だ

酷くちぐはぐで バラバラな

蜘蛛の巣を一つ 巻き取った


あなたを認めてくれる人なんて、未来永劫現れないよ。

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