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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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180/205

仮題『愛しさに名前をつけよう』/『砂まみれの花束』/『打ち上げ花火』

出会いの果てには、別れだけ。

それが普通でしょ?

AからZまで、並べては崩すの。

仮題『愛しさに名前をつけよう』


ワタシ 縦横の線 定まらず

機械が吐き出す波を見ていた

暑さ 寒さも 今際まで

欄干に凭れた あなたが落ちた


囀りじゃ届かないんだって

撫でたボタンが外れるような

零落の果てに何を見る?

実は ただの温もりだとか



仮題『砂まみれの花束』


燻る 燻る 赤色の灰

林檎の木が燃え尽きたあとに

持ち主を探す狼の群れが

わたしを飲み込む あなたを飲み込む


蓋の空いた幸福の箱では

海を閉じ込めることはできなくて

累乗した嫌悪をパレットに載せる

黄土色の砂漠で果てるのだ



仮題『打ち上げ花火』


見上げた花束 もう不在

浴衣に弾けた 終わりの匂い

ぬるい空気を巻きつけた

どこかで落ちる音がした


忘れ物ばかりの夏に

また一つ 置いてきた夜空を

彩っていた 色とりどりの輝きを

蝉が死んでしまう前に


アイスキャンディーは溶け切ってしまったね。

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