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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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179/205

仮題『盾』/『ゲーム』/『幻影』

妥協、妥協、妥協。

その酸素すらも、ね。

何かのせいにするのは楽だね。

仮題『盾』


この身を差し出そう

それしかできないと知っているから

この身を差し出そう

何より頑健であるだろうから


肉を溶かすような熱さも

骨を砕くような激しさも

何もかもから守り抜こう

この息のすべてを 吐き出すまで



仮題『ゲーム』


上 下 右 左 A B

私たちを動かすコントローラー

思い通りに動かぬ指が

もどかしい もどかしい


言葉もカラダも 何一つとして

自由ではない私たちは

誰かの描いたシナリオをただ

なぞることしかできないのだ



仮題『幻影』


「それっぽいだけの残響だ」

 昨日 死んだはずの君が言う。

「僕はもう いないからさ」

 聞こえない 聞こえない


 お墓も 遺影も 仏壇も

 何一つとして君じゃないんだ

「わかっているのに どうして?」

 聞こえない 聞こえない


何もかもを失ってしまいなよ。

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