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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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159/205

仮題『普遍性:0022』/『大人になる/Dead』/『ハチミツ』

浴びるように飲んでも、潤わないんだ。

マイクを離さないようにね。

仮題『普遍性:0022』


怒声と罵声の恒星間を

忘却の舟が駆けてゆく

誰かに宛てた言葉の方が

よっぽど 書きやすいからさ


惨めに滲んだ 遊びの筆を

蛙に食わせるには惜しいから

「せめて」を連ねた言い訳と

首輪の縄は 細い方がいい



仮題『大人になる/Dead』


蜂蜜漬け 仮死の幸せに

今だけは騙されていようじゃないか

下りのホームに倒れていた

酔っ払いの鼾を背中に


ネバーランドから追放された

翅のない私たちの肺を

優しく 優しく潰してくれる

梅雨と雷を 待っているから



仮題『ハチミツ』


こがねの輝き ひとすくい

疲れたときには甘いもの

脊髄を痺れさせるほどに

痛みを忘れられるほどに


一杯の紅茶に溶かしては

とろり 舌先にまとわりついて

髄まで染み込んでゆくように

骨壺の中でも忘れぬように


あの日の旋律も、君にとっては大切だったんだろうね。

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