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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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145/205

仮題『加湿/過失』/『沈黙:Black』/『メヌエット』

こんなところかな、成績表。

ああ、あなたの安寧はどこにあるのかな。

あるいは、それは、既に齎されているのかも。

仮題『加湿/過失』


口の中が冷えているときに

詰め込んだジェラートの味を

書き起こすことができないのは

仕方がないと ピリオド


なら この気持ちの悪い熱を

歯に逃がすこともできない僕は

どうやって 生ぬるい雨の中

死んでゆけばいいのでしょうか



仮題『沈黙:Black』


人肌よりも冷たい風を

肺腑に入れるのに慣れてしまった

この黒い装いが 喪服でないなら

最後の一つは どこにあるのだろう


仮面 手袋 酷くすり減った指輪

ピアノの音に拐かされた幸せは

苦痛を愛する沈黙を重ねても

取り戻せないというのに



仮題『メヌエット』


語らずとも遠からず

嘘の並ぶ音の群れを愛でるより

偽りの介在しない手足に

愛の言葉を囁くのだ


さやかな風が吹き抜けた

あの広間で 手を取り合った

一夜の記憶が化石になってしまえば

未練も亡くなると そう信じて



22世紀はまだかな。

この体は、とても重苦しいのに。

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