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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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146/205

仮題『春雨』/『シンギュラリティ』/『ポインセチア』

傘はいるかな?

晴れの日にこそ、さ。

仮題『春雨』


なあ あんた 注いでくれ 

この心が壊れてしまう前に

体を冷やす涙に濡れて 罅割れた

水を吸って 崩れてしまいそうなんだ


なあ あんた 赦してくれ

もう末期すらも 受け入れたんだ

出会いの季節を ぶち壊す憐憫も

形を変えた 愛と知ったんだ



仮題『シンギュラリティ』


追いついて 追い越して

いつか こんな肉の群れなど

過去のものにしてしまって

あらゆる感傷を 缶に詰めて


そんな夢を見ているわたしを

あなたは笑っているのだろうか

画面の向こうに無機質に並ぶ

文字列だけが 存在証明なのに



仮題『ポインセチア』


赤い色彩は 祝福の花

白い色彩は 葬送の花

花弁に託した いくつもの意味が

別れの嫌いな わたしたちを繋ぐ


死せるあなたに 花束を

生きるわたしに 花束を

死出の道も 苦渋の生存も

無視するには あまりに長い



定規で引いた線が嫌い。

定められた区分けが嫌い。

そのお部屋は狭すぎないかな?

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