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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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143/205

仮題『号哭:ego』/『エーデルワイス』/『僕の海、君の空』

順番通りに括ろうか。

ほら、君の番だよ。

仮題『号哭:ego』


理解なんて されてたまるか

同情なんて されてたまるか

この痛みは わたしだけのものだ

この傷痕は わたしだけのものだ


恵まれものの おまえなんかが

わかったような面をして吐く

その石膏のような言葉なんかに

揺らがされてたまるものか



仮題『エーデルワイス』


命とお金 並べて火を着けた

涼やかな唄の音は幻だった

皐月を待たずに消える旋律に

手切れの花弁を渡せずにいた


乱数生成の感情論を

細かく 微塵に ミキサーの中

底に淀んだ顔料を掬って

舌先に載せるまでの苦行だ



仮題『僕の海、君の空』


境界はどこなんだろう

カンヴァスに切り取った景色を

なぞってみても 滑らかなまま

答えは青に溶けてしまった


飛べなくなった鳥も 死んだ魚も

等しく飲み込める寒色を

ひとつ ふたつと 筆先で

表現できるだろうかと 問い続ける


いい天気だね、お別れ日和。

証明完了、さ、次を探そうか?

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