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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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134/205

仮題『指揮者』/『クライアント』/『知恵』

都合のいい人ばかり揃えれば、

あなたは曇っていくだろうね。

仮題『指揮者』


不条理と悲しみが列を成した

哀れな断末楽団の講演を

心待ちにする 子供の頭を潰すような

大きな金管を吹く音がする


遠慮は要らない あなたを取り巻く

たった一つですら 残さぬように

振り上げたタクトの行き場を知れば

その時に 首は落ちるのだろうから



仮題『クライアント』

お掛けになってお待ち下さい

たとえ 四肢の痛みを忘れても

立ち上がることができなくなるまで

あなたは 神のつもりでいて下さい


お掛けになってお待ち下さい

驕りの末の 無様な衰退など

幾度も繰り返されているというのに

愚かで 学ばないままでいて下さい



仮題『知恵』

頭の中の本棚に並んだ

あなたの名前の背表紙と

くだらない詭弁を連ねた紙束

燃やせど燃やせど 居座って


わたしがいつか 骨になっても

どこかに残った散文のあなたが

また 朧気な形を成しては

どこかのわたしを 苦しめるのだ


お客様はカミサマ、だよ。

場所を選んでよ、フラッシュバック。

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