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仮題『トロイメライ』/『ラテマネー』/『蜃気楼』
空っぽの胸の中だ。
ほら、次はあれに乗ろうよ。
仮題『トロイメライ』
梯子にかけた手が爛れたのは
捨ててしまったのを悔やむ間もなく
痰に交じる血を捨てられもしない
眩い 眩いものだったからだ
背景 書き割り ハリボテの空
そこに文句をつけられるほど
抱いたものは大きくもなく
観覧席を立つこともできない
仮題『ラテマネー』
自分のことを褒められるほど
厚かましくは生きられませんでした
だからせめてと一枚のコインを
首の裂け目から入れてみたのです
軋む体も 経年の罅も
明日崩れるほど深刻でないのなら
ただ それだけで癒える程度の
傷ついたフリだったのです
仮題『蜃気楼』
掴めないものを何もかも
実体のないものだと思い込んで
指先の怯えも 震える足も
見ないふりをしていたんだ
たった一度と口に出す前に
その面の皮を剝いだ傷跡を
癒やしてくれる口づけすらも
ひび割れて 忘れてしまった
花は苦しみ、人は君。




