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仮題『楽しい』/『近道なんてない』/『火花』
静かにしないでよ、ねえ。
最短の道だったと信じようよ。
仮題『楽しい』
麻薬のような言葉だ
隠しきれない脳の痺れを
何度でも求めてしまうように
逃げ道を探しているんだ
言い訳にもならないと知っていて
それでも 傷痕を忘れるため
心の穴を埋めるために
何度でも口にするのだ
仮題『近道なんてない』
進まなきゃいけない
足が折れるまで 心が萎えるまで
根を下ろしてしまいそうになる
疲労に火をつけて さらに先へ
遠回りしなければ 見つからない
見つからなければ あなたじゃない
だから その道こそがと
胸を張って 逝けるように
仮題『火花』
かけがえのないと 嘘を吐かれた
気付きたくなかった あの日から
いつか来ると 何かで読んだ
指先の痺れを待ち続けている
たった一度 弾けることすらも
できぬままに老いてゆくのなら
「せめて」を無様に散らしたとしても
ここにいるのだと 叫ばせて
はい、どうぞ。
最期くらいゆっくりしなよ。




