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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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125/205

仮題『示』/『否』/『これから』

期待しないでよ、こんな世界にさ。

仮題『示』


衒いも捻りも要らないんだ

知っているものを知っている形で

出力できる薄煙さえあれば

わたしたちは 二足で歩いてゆける


目の前に真っ直ぐ伸びた

明らかで朗らかな光の道を

踏み殺してゆけるだけの力が

母から与えられたのだから



仮題『否』


指に慣れた配列 圧 圧 圧

割れた爪に染み込んでしまった

インストールしたはずの自由が

齎してしまう ネクローシス


拒みたくない手のひらも

もう 信じられないなんて

誰かの言葉を借りることに慣れて

錆びる 錆びる 骨の髄



仮題『これから』


線上に並んで よーいどん

わたしの胸を貫く鉛玉

立ち上がるだけでもやっとなのに

あなたたちは 振り返って言うのだ


決まって ゴールの間際にて

両手を上げたあなたたちには

わたしのことなどわからないのに

口を合わせて らい らい らい


五十音順の断頭台だね。

こんなところで何してるの?

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