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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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124/205

仮題『追憶-@』/『煙突』/『羨』

わん、つー、すりー。

お花も、服も、灰になって。

仮題『追憶-@』


茶けたタイルの道を塞ぐ送電線

景観重視のシャッター街

思い出は何処へ 革靴の音

迷子になっちまったみたいだ


煙草は売り切れ 小銭もねえや

ささくれ見逃し散歩道

薄暗いアーケードに火を放って

切れた生命線 ゲラゲラ笑おうぜ



仮題『煙突』


きみが空に昇ってゆくのを

遠くの丘から眺めている

黒の装いで 見送る列に

並ぶこともできずにいる


さようなら などとありきたりな

別れを言えたならよかったのだろうか

認められない おしまいすらも

荼毘に伏されて 消えてゆく



仮題『羨』


美しい翼が欲しいと願いました

空の炎に焼かれてしまいました

靭やかな尾鰭が欲しいと願いました

渦に飲まれ 沈んでゆきました


きっとこの 両足すらもが

誰かに望まれているのだろうけど

自分の生まれたカタチでしか

息をすることが 許されない


魔法を待っていても仕方ないよ。

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