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仮題『表言』/『育』/『爛々』
包帯は無いよ。
水が無いのと同じように、ね。
錠前はもういいよ。
ほら、朝が来たんだ。
仮題『表言』
泥の海に 風が描いた
指の跡も生きた証ならば
誰かが紡いだ 不透明な駄文も
いつか何処かに届くのだろうか
焼けた藪に 焦げて残った
炭もかつての思い出ならば
私が紡いだ 出来損ないの想いも
いつかあなたに 届くのだろうか
仮題『育』
赤黒い頭蓋の鉢植えに
撒いた種を 何色で染めようか
死んでしまえるほどの赤を
凍てついては裂けるほどの青を
なんて 口だけの道化の
胸の中で 結晶は大きさを増し
やがて その胸板を突き破って
大輪の悲鳴を咲かせるだろう
仮題『爛々』
痺れ 辛み うわごとのように
刺激に流す涙の塩を
闇色のカンヴァスに引いた線の
原料にしてしまおうと思うのだ
さらば 最悪の二十四時間
折れたシャフトを拾う間もなく
スパイスの振りかけられた石を
馳走と飲み込む 午前二時
骨張った指、笑う死体の山。




