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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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113/205

仮題『糊口』/『訴状』/『独独』

積み木の家は、崩れちゃうよ。

バランスを崩さないようにね。

仮題『糊口』


ポップな死を必然と呼べるだけの

後悔の下地すら焚べてしまって

ガムの貼り付いたアスファルトに

三十六度の廃人形


値付けを終えた革靴に

眠気を吹き付けたマーブルが

萎びた芯の断面を見つめて

酩酊の朝 細切れの頭痛



仮題『訴状』

どうしてこうなってしまったの

繰り返すたび 水音が

心臓を掻き回す痛みだって

もう 愛でいいじゃない


くだらない感傷を擬人化した

ラジオのノイズに文句を言って

日めくりの時間が溶け落ちた後に

ガベルを打ち鳴らしてしまおう



仮題『独独』


我慢を強いたロンリースター

耐えきれないと 縫い合わせた

「さらば」を嫌ったロンリースター

強がり 罅割れ 足の裏


虚偽ばかりの感情声明

あちらこちらと手を振る幽霊

思い出せずにいた離別にすら

熱を欲してしまうよ

目を瞑って、芽を摘むってさ。

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