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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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112/205

仮題『反作用』/『教えと信仰』/『冬:絶滅』

説明してほしいな。

2つのダイスは、失われたってね。

仮題『反作用』


剥がれてしまった皮膚片を

集めてできた 醜い腫瘍を

「わたし」と呼ぶ度 増えてゆく傷

消し去るために 搔き切った喉


眠ったわたしは死んでしまった

明日は今日の続きではなかった

そんな 当たり前に気付くために

二十年を浪費したのだ



仮題『教えと信仰』


嘘の吐けない鼓動の数だけ

誤魔化しに責められる

引かれた白線の上を歩いた

陰謀論者が 死んでいた


ダイスゲームの苦手なわたしは

失楽園の夢を見る

切れたギターの弦の先に

失踪直後の神を見た



仮題『冬:絶滅』


駅前に座り込んだ渡り鳥を

蔑む目をした 黒の着物を

朝一番 満杯の急行が

轢き殺して去っていった


硝子に溶かした思い出の箱

失くした鍵とは違うもの

生理的嫌悪感の痒みが

にわかに弾けて ぱち ぱち ぱち


暖房効きすぎじゃない?

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