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仮題『味覚』/『駆』/『手紙』
さあ、取り分けるよ。
仮題『味覚』
舌の上に載せた色で
紡ぎ出した いくつもの形を
額に入れた遺影の数だけ
刺激のサラダを 召し上がれ
一人で過ごす 鈍色の食卓は
獣の臭いを抑えられず
喉を焼く 苦い思い出と
火傷の痛みに 顔をしかめた
仮題『駆』
加速する 加速する
どこまでも遠く飛ぶために
加速する 加速する
誰よりも高く飛ぶために
目の奥が酷く痛むような
残光が斬りつけた出血を
厭うこともなく進めるような
その一言を いつまでも待とう
仮題『手紙』
星の絶えた夜をインクにして
背骨のペンで 綴ろうか
詩人の死体を絞りきっては
冷え切った一杯を注ぐんだ
届けばいいよ 不格好でも
書ければいいよ 真似事でも
あなたはあなたの沈殿物を
ここに遺して ほら 左様なら
さあさあ、もう少しだよ。
崖の下まで、ね。
倦怠感と、吐き気。




