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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2023――
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110/205

仮題『最幸』/『朝明け』/『空』

またよろしく、ね。

ぐっばい、はろー、何度でもね。

仮題『最幸』


赤の悪魔がやってくる

全てを手にしたときに やってくる

青の悪魔がやってくる

愛に包まれたときに やってくる


絶頂とはつまり この先の道が

痛みに満ちていることの証左だと

今だけは それに気づかぬふりで

来るあなたを 迎えよう



仮題『朝明け』


染み付いてしまった哀しみも

傷の残った 執着も

何もかも置き去りにしてしまって

時は流れてゆくのだから


さあ また日が昇る

焼けた空の眩しさが 青く染めて

クリアになった胸の中に

沢山 酸素を詰め込もう



仮題『空』


「あんたがいなくなる夕方さ、

 朱色の帳が落ちてくるんだ」

 灰色の言葉が宙に浮いた

 きみが飛び降りる前の日のこと


 きみが愛した宇宙の色は

 この地表からじゃ遠すぎるから

「使い古しの揚力を借りて、

 直接伝えに行くからね」


手遅れ、出遅れ?

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