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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
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108/205

仮題『質量』/『糸』/『Change』

小夜の帳を、切り裂いてね。

わかんないふり、やめたら?

仮題『質量』


惹き合うように 挽き合うように

血と痛みでしか別れは彩れず

浮ついた心を殺す刃は

非実在のまま研がれてゆく


論理を重ねる間もないと

ただそこにある重さだけが

盲信を受け容れる手を広げて

今日も思考を止めるのだ



仮題『糸』


視線を結んで 小指と小指

切り落とした断面から滴って

旅に飽いた風船の帰りを

今か今かと 待っているのだ


自分とは の言葉を撚り合わせ

紡いだ一筋に 預けた意図は

どれもがひどく陳腐なままで

最後は 首輪になるのでしょう



仮題『Change』


窓から見えた 死んだ電線

褪せた写真の 滑らかな肌

喪失を言い換えた言葉ばかりが

苦みの中に浮かべられている


無味の世界に落ちる前に

最期だからと あなたがくれた

チョコレートだけが 未だに

風化せぬまま 舌を這っている


どうせなら連れて行ってよ。

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