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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
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107/205

仮題『青空』/『火石』/『自論』

あれ、晴れてない?

何がいけないの?

仮題『青空』


落ちてくるのではないかと

心配になるほど澄んだ色を

二重らせんの内側に閉じ込めて

未来へと送ってしまおう


遥か向こうのタイムラインを

孤独に歩むあなたのために

無駄にしてしまう 千年分の快晴を

奪って作った タイムカプセルだ



仮題『火石』


たった一度 焚べられた心を

手足を動かすエンジンにして

油の切れた歯車の軋みを

忘れた熱波で吹き飛ばして


木製の関節から吹き上がる

赤と橙の風を激情と呼び

深爪が痛む炭化した先を

思うさまに 振り翳すのだ



仮題『自論』


口を開けて待っていたって

凡人のあなたが得られるものなど

たかが知れていて 知らないままで

いずれは骨になるのだから


挫折と後悔のルージュで

切創に口づけをした わたしは

それを弔い 悼むことなど

してあげないと 決めたのだ


もっとよく見なよ、その目が溶ける前にさ。

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