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海を揺蕩う文の梁  作者: 文海マヤ
――2022――
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104/205

仮題『不動』/『確信』/『discount』

ふふ、たまにはこういうのも、ね。

ここでもないし、そこでもないんだ。

仮題『不動』


違うよ それを名誉だとか

ましてや 終わってから勲章だなんて

そんなふうに讃えてはあげないから


あなたはいつも 見ているばかりで

手遅れになるまでの傍観者だから


その 踏み出せなかった足の痛みも

ただの負傷ですらないから

はやく わたしを忘れてね



仮題『確信』


形のないものに理由をつけて

美しいものだと言い張って

粘体を集めてできた 曇ったレンズを

噛み締めた傷が残っている


あれは きみの生まれ変わりだ

そうに違いないと 軋んでは

この生に救いがないことだけは

ひとつ確かに わかっていたのだ



仮題『discount』


背中に貼られた数字の桁を

削られるのが嫌だからと

酔っ払いのピーターパンは席を立ち

カメラを構えて 身投げした


うねり 波打つ 0と1の

飛沫を避けることも叶わずに

実物を見せてくれない大人を

意味もなく嫌うことにしたのだ


一度目と二度目が駄目だったんだよ?

三度目に正直になるだなんて、さ。

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