闇の使い、闇刻む者
(危険?)
そのモブ騎士の叫び声を聞いた後、元々はあの女性の方へ伸ばそうとしていた俺の手は、躊躇いから一瞬で止まった。
まだ膝をついた姿勢のまま、女性はゆっくりと伸ばしていた手を引っ込めた。
そして、明らかに苛立ちを浮かべた表情でそのモブ騎士の方を振り向いた。
「邪魔しないで! あんたに私の世界の何がわかるの! 自分の惨めな世界のことだけ心配してなさい!」彼女は怒った声で言った。
「この大馬鹿野郎女! 誰がお前の世界の話をしてるか!」モブ騎士は苛立って言い返した。
モブ騎士は俺の方を見つめた。
「勇者よ! 早くそこから離れろ! 後ろを見ろ! 死ぬぞ!」
モブ騎士は真剣な顔で叫んだ。
俺はまだ膝をついていた。血を流しすぎて視界が虚ろだった。
今にも気絶しそうなほど頭を垂れたまま、俺はゆっくりと首を少しだけ後ろへ巡らせた。
目の端が後ろの方を捉えた時……
プーーー! プーーー!!!
一台のトラックが、俺に向かって猛スピードで突っ込んできていた。
そのトラックのフロント部分には、大きな赤い文字で「2」と書かれていた。
……俺の目は見開かれた。トラックの眩しい光がゆっくりと俺の体を照らし、時間が経つにつれてどんどん近づいてくる。
(二代目のトラック君だと?!)
俺を見たモブたちの顔が、一瞬で驚愕に染まった……
……高い場所から、夜の暗闇の中に街の明かりが瞬いていた。
その景色の中で、彼らの叫び声が響き渡った。
「勇者ーーー!!!」
◆◆◆
昼間、空はどんよりと曇り、雨が降っていた。
後ろから……
……雨の中、十吾はモブA、モブZ、モブCと共に俺の墓石の前に立っていた。
(第1話のキャラクター)
彼らは武器を持っていたが、口に食パンは咥えていなかった。
傘を差しているモブZを除いて、彼らの服は雨でびしょ濡れになっていた。
「全部聞いたぜ。死ぬ前に、ヤクザから女性を助けたんだろ?! 大した死に様しやがって」十吾は哀れみと悲しそうな視線を向けながら言った。
十吾は素早く自分のプラスチックの棒を、俺の墓の横の地面に真っ直ぐ立つように突き刺した。
「毎日のように喧嘩してたが、今や俺たちはダチだ!」十吾は躊躇いなく言った。
モブZは冷ややかな目で墓を見つめた。
ゆっくりと彼は傘を閉じ、雨に身を晒した。
「俺の技を模倣できたのは、お前だけだ。誇るがいい」彼は威厳のある声で言った。
その後、彼はその傘を俺の墓石に置いた。
「褒美として、俺の武器を授けよう」モブZは威厳を込めて言った。
モブAは首から白いタオルを外すと、それを墓石の上に広く広げた。
「お前が大好きなタオルだ。安心しろ、ちゃんと綺麗に洗っておいたからさあ」
モブAは言った。
モブCは誇らしげに木刀を掲げ、満面の笑みを浮かべた。
「これが俺の最強の剣だ。お前に託す、大事に使えよ」
そしてモブCは木刀を墓石に置いた。
雨の中、今彼らの武器が俺のお墓に集まった。
◇
暗闇の中で最初に俺が見たのは、グレーのシンプルな木製の椅子にエレガントに腰掛けている一人の男だった。
彼は両足を前でぴったりと組んで座っていた。
両方の手のひらを膝の上に置き、落ち着いていてエレガントに見えた。
彼は俺と同じ顔をしていた。
彼の目は、頭の後ろで結ばれた一枚の黒い布によって覆われていた。
両耳には、先端に赤いルビーの石がついた小さなチェーンのピアスがついていた。
そのルビーは小さなダイヤの形をしていた。
彼の服は全身黒で、謎めいた戦士を思わせるシルバーの模様が入っていた。
「勇者にならなくてよかったな」彼は静かに言った。その声は俺の声に似ていた。
俺の視界に映るのは、暗闇の中にいる彼の姿だけだった。
「お前、誰だ?」俺は尋ねた。
「闇の使い、闇刻む者……カラス……」彼は答えた。
そして……
「CROW」彼は微笑んだ。




