五対一 (1)
俺は紫色の炎に包まれた両の掌を見つめた。だが、熱さは微塵も感じない。感嘆の表情もすでに少し薄れていた……
「囲まれているみたいだ」俺の視線が冷たくなった。
俺はゆっくりと両手を下ろした。それに伴い、掌の紫の炎は次第に弱まり、やがて消え去った。
(五対一、か…..)
俺は馬小屋に似た空間の中で、ただ静かに立っていた。
(妙だな、体の感覚は冴えている気がするな)
夜の静寂がその場所を包み込み、音一つ残していなかった。
そして……
ドスン!——頭上の木製天井が突如としてぶち破られた。忍装束を着た男が、短剣を握りしめながら上空から突入してきた……
…刀身は真下を向き、俺の立っている場所を狙って直接突き刺そうとしていた。
俺はすぐに横へ転がって攻撃をかわし、そのまま奴の方へ向き直った。
…俺が避けた瞬間、忍びの刀が激しく地面に突き刺さった……
…男の体はしゃがんだ姿勢で着地した。その着地の激しい衝撃で、部屋中の藁が舞い上がった。
その忍びの背中には、シンプルな白い盾が背負われていた。
「お前、何者だ!」避けながら、俺は奴を睨みつけつつ言った。
二人の距離はわずか5メートルだった。
「脅すだけのつもりだったが…」忍びは冷静にそう言った。
忍びは地面に突き刺さった刀の柄から手を離すと、衣服の懐から黒い楕円形の爆弾を取り出した。
そして、爆弾の先端の蓋を引っ張った。直後、導火線から明るく燃え盛る赤い火花が散り、爆弾が作動したことを告げた。
「悪いな」
忍びは冷たい視線を向けながら、その爆弾を落ち着いた様子で俺めがけて投げつけた。
爆弾は二人の真ん中を正確に飛んでいく。その爆発は間違いなく二人を巻き込むはずだった。
(爆弾?!)俺は一瞬、顔を引きつらせた。
忍びはすぐに背中の盾を手に取り、至近距離での爆発の衝撃から身を守った。
——俺はすかさず右手を前に突き出した。紫色の炎が燃え上がり、まだ閉じたままの傘のシルエットを形作る。
次の瞬間、炎は消え去り、手元には一本の傘が握られていた。
「BUTTERFLY SHIELD」
爆弾が俺に届きそうになった時、傘がパッと大きく開いた。爆弾は傘の表面に弾き飛ばされ、目の前の忍びの方へと跳ね返っていった……
傘の表面は硬い金属でできていた。爆弾がそれに激突した瞬間、高い金属音が鋭く響き渡った。
……爆弾は盾の隙間をすり抜けて転がり、しゃがみ込んだ忍びの股ぐらの下にピタリと止まった。
「おいおいおい嘘だろっ!?」
足元の爆弾を見つめながら、忍びは信じられないといった様子だった。
俺は傘を下ろし、どこか申し訳なさそうな顔で奴を見やった。
「なんか……悪いな」
そう言って、俺は罪悪感を覚えていた。
そして...…
ドカーンッ!——外側から、その木造家屋が爆発した。建物の中から濃い黒煙がもうもうと立ち込め、周囲を包み込んだ。
「がっはぁ!!」黒煙の立ち込める中、俺の体は吹き飛ばされて外へと放り出された。
(クソ、油断した!)
大きな路地の湿った地面の上を、俺は何度も転がった……
…体が完全に静止するのを待たず、俺は無理やり起き上がって走り出した。
頭からはすでに血が流れており、顔の大部分を赤く染めていた。
(まだ四人いるぞ!)
地上の路地を駆け抜ける俺を追うように、4人の忍びが建物から建物へと軽やかに飛び移りながら追跡してくる。
「なぜ俺を狙う?! 理由はなんだ!?」走りながら俺は叫んだ。
…刀を携えた一人の忍びが飛び降りてきて、俺のすぐ近くに着地した..
奴の足が水たまりを踏みつけ、水飛沫が宙に激しく飛び散った。
まだ水飛沫が忍びの顔の近くで舞っている中、奴は言った。
「知る必要はない。おとなしくついてくれば、痛い思いはしない」冷たい声で。
俺の体は素早く奴の方へと向き直り、迎撃態勢に入った。
俺の掌がほんの一瞬、紫色の炎に包まれた。次の瞬間、その炎は一本の鉄棒へと変化し、俺はその中ほどをしっかりと掴み取った。
俺は片手で鉄棒を素早く回転させ、全力を乗せた一撃を繰り出そうとした。
「残念、俺の人生は、俺の自由だ」
目を大きく見開き、俺は冷たく言い放った。
「そうか、——よ!」
鋭い眼光を放ちながら、忍びは迷うことなく刀を構えて突撃し、横薙ぎの一撃で俺を斬り伏せようと襲いかかってきた。
そして、鉄棒を下から上へと力強く振り抜いた。
鉄棒の先端が水に浸かった地面をかすめ、激しい衝突へと向かう。
クランッ!
——奴の刀が俺の鉄棒と激突した瞬間、刀身はまるでガラス細工のように粉々に砕け散り、両者の武器の圧倒的な力の差を見せつけた。
時間がスローモーションのように感じられた。
水、泥、砕けた刀の破片が、二人の間に舞い散る。
「馬鹿な!」忍びの驚愕の声。
俺は体を一回転させ、横薙ぎに鉄棒を振るって追撃を加えた。
ドスッ!
鉄棒が奴の脇腹にまともにヒットした。
凄まじい衝撃で奴の体はくの字に曲がり、遠くへと吹き飛ばされて地面を激しく転がっていった。
俺は大きく目を見張り、混乱した面持ちで状況を理解しようと努めた。
それと同時に、俺のアドレナリンが最高潮へと達していた。
(あれ? 俺って……こんなに強いなんだっけ?)




